シャープマーケティングジャパン株式会社のAGV「TYPE A（標準型）」が示す導入しやすさと基本性能の実力

近年、製造業や物流現場における人手不足や作業負荷の増大により、自動搬送機（AGV：Automatic Guided Vehicle）の導入が加速しています。しかし、導入初期段階においては、「機能が過剰で扱いづらいのではないか」「初期投資に見合う効果が得られるのか」といった懸念がつきものです。

こうした状況下で注目されているのが、シャープマーケティングジャパン株式会社の「TYPE A（標準型）」です。基本性能に忠実でありながら、現場への導入のしやすさに配慮した設計が特徴の本機は、AGV導入の「最初の一台」として検討されることの多いAGVです。

本記事では、同機種の仕様・設計思想をすべて事実ベースで紐解き、導入検討に必要なポイントを網羅的に解説していきます。

TYPE A（標準型）の構造と搬送スペック

TYPE A（標準型）の本体寸法と対応荷重

TYPE Aは、全長825mm、全幅480mm、高さ190mmのコンパクト設計を採用しています。狭小な通路や複雑な動線を有する製造・物流現場においても、スムーズな搬送が可能なサイズ感です。

対応する搬送能力は以下の通りです。

• 積載許容荷重：200kg
• 潜り込み牽引重量：200kg
• 引っ張り牽引重量：500kg

この数値からもわかるように、本機は軽量物から中重量物まで幅広い荷物を対象とした設計となっており、台車搬送や部材供給など多様な搬送ニーズに対応可能です。

TYPE A（標準型）の走行機能と速度仕様

TYPE Aは、「前進＋スピンターン」に対応した走行仕様となっています。スピンターン機能により、狭いスペースでも方向転換が可能であり、現場のレイアウトを大きく変えずに導入できる柔軟性を備えています。

最高走行速度は60m/minと設定されており、安全性と搬送効率のバランスを考慮したスピードです。速度が過剰でないことは、特に作業員との混在環境で運用する際に重要な要素となります。

TYPE A（標準型）の誘導・制御方式の特徴

TYPE A（標準型）は磁気テープ＋ICタグの併用方式を採用

誘導方式には「磁気テープ＋ICタグ」の併用タイプを採用しています。磁気テープによる経路誘導は施工が容易で、既存施設への導入においても床の加工が最小限で済むというメリットがあります。また、ICタグを活用することで、停止ポイントや加減速制御、分岐処理などの情報を柔軟に設定でき、より精度の高い制御が可能となります。

この方式は、高価な画像処理やレーザー誘導と比べて導入・運用コストを抑えられる一方で、安定性にも優れるため、特に初期導入に適しています。

TYPE A（標準型）の安全装備とフェールセーフ設計

TYPE A（標準型）には複数の安全装置を搭載

TYPE Aは、安全に関する装備も充実しています。標準搭載されている安全装備は以下の通りです。

• 非常停止スイッチ
• バンパースイッチ
• 障害物センサ（切替可能）
• 走行メロディ（最大85dB）
• ウィンカー

これらの装備は、作業員との混在環境下における接触事故を防ぐためのものです。特に障害物センサは設定によりオンオフの切替が可能で、作業環境に応じた柔軟な対応が可能となっています。

TYPE A（標準型）のフェールセーフ設計

AGVは無人で稼働する機器であるため、万が一の故障や異常時に自動で安全停止する仕組みが不可欠です。TYPE Aは以下のフェールセーフ機能を備えています。

• コースアウト時自動停止
• モーター過負荷時の自動停止
• センサー断線検知による停止
• 電圧低下時の自動停止

これにより、機械トラブルや電源トラブル発生時でも搬送物や周囲環境への影響を最小限に抑える設計となっています。

TYPE A（標準型）の電源仕様と運用性

TYPE A（標準型）の電源仕様と稼働時間

本機には、鉛バッテリーDC24V（13Ah×2直列）が搭載されており、約2時間の連続稼働が可能です。中小規模現場での搬送作業や、休憩時間を利用した充電との組み合わせであれば、十分な運用が可能な仕様です。

また、鉛バッテリーは信頼性が高く、過去の多くの導入実績がある点でも安定運用に貢献しています。

TYPE A（標準型）の充電方式は自動・手動の両対応

充電方式は「プラグINによる手動充電」と「標準装備の自動充電」の両方に対応しています。初期導入時には手動での簡便な充電運用が可能であり、本格運用段階では自動充電設備を併用することで、無人搬送システムの構築が実現できます。

このように、導入ステップに応じた柔軟な充電方法を選べることも、TYPE Aの大きな強みの一つです。

TYPE A（標準型）の導入適性と現場対応性

TYPE A（標準型）は中核モデルとして幅広い用途に対応

TYPE Aは、標準型というポジションにふさわしく、サイズ・搬送能力・走行性能・安全性のすべてにおいてバランスの取れた設計となっています。200kgまでの積載に加え、牽引方式も2タイプに対応しており、パレット搬送、部品供給、完成品出荷といった多様なシーンで活用できます。

TYPE A（標準型）は導入負荷が少なく、拡張性も高い

磁気テープによる誘導方式と小型筐体により、既存ラインへの後付け導入も可能であり、現場側の設備変更や工事の手間を最小限に抑えることができます。さらに、ICタグの活用によって将来的なルート変更や搬送プログラムの拡張も容易であり、中長期的な活用にも適しています。

TYPE A（標準型）のカタログスペック

外形寸法	825mm × 480mm × 190mm
積載許容荷重	200kg
潜り込み牽引重量	200kg
引っ張り牽引重量	500kg
走行方向	前進＋スピンターン
最高走行速度	60m/min
誘導方式	磁気テープ＋ICタグ
安全装備	非常停止スイッチ、バンパースイッチ、障害物センサ（切替可能）、走行メロディ（最大85dB）、ウィンカー
フェールセーフ	コースアウト、モーター過負荷、センサー断線、電圧低下時自動停止
電源	鉛バッテリー DC24V（13Ah×2 直列）
稼働時間	約2時間
手動充電	プラグIN
自動充電	標準装備

TYPE A（標準型）まとめ：AGV導入の第一歩に最適な一台

シャープマーケティングジャパン株式会社が提供するTYPE A（標準型）は、AGV導入の初期段階において必要とされる「基本性能」「安全性」「導入のしやすさ」を兼ね備えたAGVです。

事実ベースで見ても、標準装備の充実度や誘導方式の柔軟性、そして搬送能力のバランスは非常に優れており、「まずは1台導入してみたい」という現場には最適な選択肢となるでしょう。