倉庫や工場などの現場では、扱う製品の大型化・重量化に伴い、搬送機器にも一層の高性能化が求められるようになっています。特にパレット単位で1トンを超える重量物を日常的に搬送する環境では、一般的なAGV(無人搬送車)では安定性や安全性に不安が残る場合もあります。

Gaussy株式会社の「T6-1500」は、そうしたニーズに応えるために設計された高耐荷重型AGVです。同社のT6シリーズの中でも、1,500kgまでの重量物に対応できる明確な仕様を備えており、重量物搬送を前提とした運用環境に特化しています。本記事では、T6-1500の仕様と設計意図を紐解きながら、その導入価値を事実ベースで解説します。

T6-1500のモデル特性と開発意図

最大1,500kg対応を明示した高荷重搬送モデル

T6-1500は、GaussyのAGVラインアップの中でも特に「高耐荷重搬送」を主目的として開発されたモデルです。型番にも表れているように、最大搬送重量は1,500kg。移動棚込みでこの荷重に対応しており、一般的なAGVが1,000kg前後で設計される中で、より重い荷物を確実に搬送できる仕様となっています。

この点は、「1,200kg程度まではT6-1200、それ以上の重量物が日常的に存在する現場ではT6-1500」という選択肢の分化を意図した製品展開であり、Gaussyのライン戦略においても重要な位置づけです。

汎用サイズで高荷重運用に対応

T6-1500は外寸1,160×860×245mmという標準的なフットプリントを採用しています。T6-1200と同様の筐体サイズを持ちつつ、内部構造や設計強度に工夫を凝らし、1.5トン級までの搬送に耐え得る構造を実現しています。

このため、既存の搬送ラインや保管ラックの寸法を大きく変更することなく導入できるというメリットもあります。寸法が同一であることにより、T6シリーズ内での混在運用や、導入後のモデル切り替えも容易になります。

T6-1500のAGV性能と環境対応性

高速走行と長時間稼働を両立

高耐荷重でありながら、T6-1500の最高速度は1.8 m/秒と俊敏です。この速度性能は、長距離搬送を要する現場でも効率性を損なわずに運用できる設計思想を反映しています。

加えて、バッテリーには48V・54Ah仕様が採用されており、フル充電時の連続稼働時間は約12時間に達します。1日1シフトまたは2シフトの稼働において、途中の充電停止を最小限に抑えることで、現場全体の搬送効率向上に貢献します。

-20℃~+50℃に対応する温度耐性

T6-1500は、動作可能温度を-20℃~+50℃と広く設定しています。これにより、冷蔵倉庫や冷凍品取り扱い拠点、あるいは夏場の高温環境においても安定した稼働が可能です。こうした環境下で重量物を搬送する場合、人手による作業が危険を伴うこともあり、T6-1500のような安定搬送が可能なAGVの導入が、作業者の安全確保にも直結します。

T6-1500の運用支援機能と自律性

Roboware連携によるタスク自動制御

T6-1500はRobowareソフトウェアとの連携機能を標準搭載しています。これにより、WMS(倉庫管理システム)との統合が可能になり、単なるルート搬送に留まらず、作業指示の自動生成や搬送タスクのリアルタイム最適化が実現します。

たとえば、あるパレットが入荷エリアに搬入されたタイミングで、自動的にT6-1500が出動し、適切なロケーションまで搬送する指示を受けるといった運用も可能になります。

AMRに近い運用柔軟性

T6-1500はAGVとして分類される製品ですが、Robowareとの組み合わせにより、AMRに近い運用が可能です。地図を用いたSLAM走行や自己位置推定の機能こそ搭載していませんが、ソフトウェアを通じた搬送タスクの自律化により、人の介入を極力減らす運用が実現されます。

こうした設計思想は、「安定性重視のAGV」と「柔軟性を持つAMR」の中間に位置する運用形態として評価でき、特に制御性と可用性を重視する現場において有効です。

T6-1500の適用分野と導入シナリオ

重量物を扱う現場向けの明確な選択肢

T6-1500が特に真価を発揮するのは、常に1,200kg以上の荷物を搬送し続けるような環境です。たとえば、自動車部品の搬送ラインや大型機器を扱う製造現場、または製薬業界におけるドラム缶や大量保管物の移動など、重量物を扱う工程において、安定性と耐荷重性能が特に求められます。

このような現場では、一般的なAGVでは荷重が不足するか、過負荷によって走行安定性や稼働寿命が損なわれるリスクもあります。T6-1500のように、あらかじめ1.5トン級の搬送を前提としたモデルは、こうしたリスクを排除できる選択肢として有力です。

サイズ共通で複数モデル併用も可能

同一筐体を採用するT6-1200との組み合わせにより、現場内で「軽・中量級はT6-1200、高重量級はT6-1500」という役割分担を行うこともできます。これにより、搬送対象や工程ごとの必要能力に応じてAGVを最適配置し、車両あたりの負荷を分散させながら安定稼働を実現する運用が可能です。

また、共通のサイズ設計により、充電インフラ・保守部品・走行経路の共通化が進み、全体運用コストの最適化にもつながります。

まとめ|高重量運用に最適化された「T6-1500」の導入意義

Gaussy株式会社のT6-1500は、最大1,500kgという高耐荷重に特化したAGVモデルです。同一サイズの筐体でありながら、重量物搬送を安定して行うための構造強化と、WMS連携による柔軟なタスク制御機能を備えています。特に、常時1トン超の荷物を扱う現場や、冷凍・高温環境下での使用が前提となる現場において、その真価が発揮されます。

T6-1500は、「AGVの堅牢性」と「AMRに近い運用柔軟性」を融合させた次世代型の重量物搬送ソリューションとして、これからの現場改善に大きな価値をもたらします。