製造業や物流業において、搬送工程の自動化は継続的な関心事であり、AGV(無人搬送車)に求められる要件も年々高度化しています。

特に重量物の搬送を対象とした場合、定格荷重、搬送精度、安全性、可搬性といった複数の性能をバランスよく備えた機種の選定が求められます。

本記事では、最大定格荷重1000kgに対応したAGVMR-Q7-1000LE-D(HI)(株式会社セキュリティデザイン)について、全仕様に基づき詳細な技術解説を行います。

MR-Q7-1000LE-D(HI)の本体寸法と重量仕様

本体の寸法は1180mm(長さ)×860mm(幅)×265mm(高さ)で、一般的なパレット搬送に適したサイズです。このサイズにより、多様な現場レイアウトにおける可搬性を確保しつつ、必要なリフト機構を内蔵しています。

重量は215kgとされており、本体自体は中型に分類されます。リフトパッドのサイズは980×800mmと、標準的な荷台サイズに近く、積載物の安定性を確保しやすい構造です。

回転直径は1265mmとなっており、この数値は走行経路上での方向転換能力に直結します。狭小スペースでの旋回が求められる環境においても、回転性能が考慮されています。

MR-Q7-1000LE-D(HI)の搬送能力と昇降機構

このモデルの最大定格荷重は1000kgに設定されています。これにより、重量物の定型搬送や、木製・鋼製パレットを用いた大量搬送への対応が可能です。

昇降機構には電動リフティングモーターが採用されており、リフト高さは60mmです。この高さは、多くの低床型台車やパレットの下部に差し込んでの持ち上げが可能な仕様であり、積載の自動化を実現します。

地上クリアランスは25mmと設定されており、床面に若干の凹凸がある程度の環境でも走行を維持できる設計です。

MR-Q7-1000LE-D(HI)の走行性能と稼働時間

定格速度は1800mm/sと高速で、長距離搬送や複数工程間での迅速な移動に対応可能です。この速度は、製造ラインや出荷エリアへの投入において、搬送ボトルネックの抑制に寄与します。

稼働時間は最大9時間とされており、シフト単位での連続運用が可能です。充電時間はフル充放電後2時間以下とされており、運用スケジュールに応じた最適な充電サイクル設計が可能です。

MR-Q7-1000LE-D(HI)のナビゲーションと制御精度

ナビゲーション方式としては「SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)」と「2Dコード」の併用方式を採用しています。これにより、環境地図の自律生成と位置補正が両立され、可変なレイアウト環境や混雑する現場にも柔軟に対応できます。

制御精度については、位置決め精度±10mm、角度精度±1°とされています。この数値は、自動ピックアップや正確なドッキングを要求される作業において重要な要素であり、精密搬送の信頼性を支えています。

また、本体には視認性向上のためのディスプレイが搭載されており、走行状態や異常検知の表示など、操作性の向上にも寄与しています。

MR-Q7-1000LE-D(HI)の安全機構

安全性の観点から、本機には複数の障害物回避・停止機能が実装されています。まず、レーザー障害物回避センサーを搭載しており、前方障害物との接触回避に対応します。

さらに、前面および後面にはバンパースイッチが設置され、物理的接触時には即時停止が行われる設計です。また、異常停止ボタンも前後両面に設置されており、緊急時の手動停止にも対応可能です。

なお、レーザー幅表示器、側面保護、後面保護といった一部の機能は非搭載ですが、これにより機体構造の簡素化およびコストパフォーマンスを両立しています。

MR-Q7-1000LE-D(HI)の適応用途と導入時の確認ポイント

本製品は、パレット単位または重量物の定型搬送に適したAGVとして位置づけられます。特にSLAM対応により、ガイドレスな環境での自律運転が可能であり、固定経路に依存しない運用に適しています。

導入前には、以下の点について確認することが望ましいです。

  • 床面の段差と傾斜:地上クリアランス25mmのため、段差処理能力に限界がある
  • リフト対象の形状・寸法:リフトパッドサイズ(980×800mm)に対応しているか
  • 稼働時間と充電インフラ:連続運転9時間と、充電時間2時間以下を踏まえたスケジューリングが可能か
  • 走行スペースの幅と旋回余地:回転直径1265mmに対応するスペースが確保できるか

これらの要素を事前に把握し、現場環境と合致するかを検証することが、スムーズな導入と安定運用の前提となります。

まとめ:AGV【MR-Q7-1000LE-D(HI)】は高精度搬送と重量対応を両立した汎用モデル

本記事で紹介したMR-Q7-1000LE-D(HI)は、1000kgという高い定格荷重に加え、精密な位置決め、SLAMナビゲーション、高速走行、安全機構を併せ持つAGVとして、幅広い現場条件に適応する構造を備えています。

すべてのスペックは定量的に示されており、運用設計や導入検討に際しても、比較検討しやすいモデルといえます。

AGVの性能を純粋な仕様ベースで把握したい担当者にとって、本モデルは多様な搬送要件に対応する有力な選択肢の一つです。現場環境に適した設計条件と照らし合わせながら、最適な導入可否判断を行うことが重要です。

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