パレット搬送の自動化が進む中で、注目されているのが「低床AGV(Low-profile AGV)」です。特にフォークリフトの代替や省人化、自動化の第一歩として、低床AGVを検討する現場が増加しています。

一方で、「低床AGVって本当に必要?」「フォークリフトと何が違うの?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。本記事では、パレット搬送における課題を整理した上で、なぜ低床AGVが最適なのかを解説し、導入メリットや実例、失敗を防ぐためのチェックポイントまで徹底的に紹介します。自社に合った選定の参考にぜひご活用ください。

低床AGVとは何か?

一般的なAGVとの違い

低床AGVは、床面からの高さが非常に低く設計された無人搬送車です。一般的なAGVが牽引やカゴ台車搬送を主とするのに対し、低床AGVは”パレットの下に潜り込む”ことで、パレットごと自動搬送を実現します。

この特性により、フォークリフトに頼らずに重量物を安定して搬送できるという大きなメリットがあります。また、高さ制限のある作業空間でも無理なく導入できます。

主なタイプと構造概要

  • 潜り込み式:パレット下に進入し、そのまま走行。
  • 昇降機構付き:パレットを持ち上げることで路面からの段差に対応。
  • タイヤ構成:直進・旋回・全方向移動(オムニホイール)など、走行方式により柔軟性が異なります。

パレット搬送に低床AGVが最適な理由

フォークリフトとの比較による優位性

比較項目フォークリフト低床AGV
操作人による運転無人運転
安全性接触・衝突リスクありセンサー停止・低速走行
運用コスト人件費+燃料+免許管理初期投資+保守費
稼働時間人のシフトに依存24時間運転可能

人件費削減、安全性向上、ミス防止、長時間稼働といった観点で見れば、低床AGVのコストパフォーマンスは非常に高いと言えます。

パレット規格との親和性

日本国内でよく使われるJIS規格のパレット(1100×1100mmなど)や、EU型の1100×1200mmにも対応できるモデルが増えており、特に倉庫業界・食品物流などでの相性が良いです。底面に隙間があれば標準的なパレットにそのまま使える点も利便性が高く、現場に合わせた調整がしやすいです。

活用現場別のメリットと導入効果

現場種別主な搬送物導入メリット
製造工場部品パレット工程間搬送の自動化/タクト遵守
物流倉庫出荷パレット無人搬送で省人化/深夜運用可能
食品・医薬品軽量パレット清潔対応・誤搬送防止

いずれの現場でも共通しているのは、「搬送=人手の多くを取られる作業」という課題です。低床AGVを導入することで、その負荷をゼロに近づけることができます。

《テキスト図解》搬送フローイメージ

[受け渡し位置] → [AGV潜入] → [パレットリフトアップ] → [搬送ルート] → [格納位置]

このようなシンプルかつ自律的なフローによって、工程間搬送のボトルネックを解消できます。

よくある質問と失敗回避ポイント

よくある誤解・FAQ

すべてのパレットに対応できますか?

底面に隙間があり、一定の高さが確保されているものに限られます。ゴム脚付きやフルフラット構造は非対応のケースあり。

段差や傾斜には対応していますか?

段差対応モデルを選べば最大10cm前後まで対応可能です。ただし実環境での事前検証が推奨されます。

人と併用できますか?

安全センサーや緊急停止機構がある機種なら併用可能です。人感センサーや衝突回避アルゴリズムの実装が標準化されつつあります。

失敗事例から学ぶチェックポイント

ある物流現場では、特殊パレット(ゴム脚付き)にAGVが入れず、導入後に全パレット交換が必要となった。事前に実物での走行テストが必要。

工場内の床に設置されたグレーチングの幅が広く、低床AGVの車輪がスタックする事例も。段差・スリットのチェックは必須。

導入後の成果シミュレーション

項目導入前導入後(低床AGV)
搬送にかかる人件費約3.2人/日0.5人/日(監視のみ)
ヒューマンエラー率月3件(誤出荷など)ほぼゼロ
稼働時間8時間(2交代)最大24時間稼働

代表的な低床AGVメーカーと製品比較

メーカー名製品名積載重量本体高さ特徴
AST(エーエスティ)AST-Drive Mini~1000kg(要確認)約250mm小型・低床、狭小対応
モバロジMobiGO Low~800kg(参考値)約200mm小回り重視(詳細は要問い合わせ)
豊田L&Fキーカート低床型~500kg(モデルにより異なる)約230〜250mmフォーク代替設計、型番により仕様差あり

まとめ|現場にフィットする低床AGVという選択肢

  • フォークリフトの代替としての安全性と省人化効果
  • パレット搬送に特化した高さ・寸法対応力
  • 自社のタクトやレイアウトに合わせた柔軟運用が可能

単なる「AGVの一種」ではなく、「人の代わりにパレットを運ぶ新しい標準」として、低床AGVは今後ますます多くの現場に必要とされる存在になるでしょう。