自動搬送車(AGV)の活用は製造・物流業界で広がりを見せていますが、従来のAGVは基本的に屋内用途に限定され、屋外環境や段差・傾斜のある場所では運用に制限がありました。こうした背景の中で、株式会社KKSが開発した「V1000H-B」は、屋外対応・全天候型AGVとして、これまでAGV導入が難しかった現場に新たな選択肢を提示しています。

本記事では、V1000H-Bの特長と仕様を客観的事実に基づいて分かりやすく解説します。

V1000H-Bの基本仕様と搬送性能を解剖する

V1000H-B:最大1トンの搬送に対応する高耐荷設計

AGVの選定において最も重要な基準の一つが搬送能力です。V1000H-Bは、最大で1,000kg(1トン)までの荷物を搬送する能力を持ち、重量物や大型設備、原材料の搬送にも十分対応可能です。これはパレット積載物の全量搬送や重量製品の中間工程移動など、運搬の効率性と安全性を両立するうえで極めて重要なスペックです。

また、V1000H-Bは走行パターンにも優れており、単純な前進・後進だけでなく、スピンターン(その場旋回)、曲線走行、さらには横行(真横への移動)にも対応します。これにより、狭い通路や複雑な搬送経路でも柔軟に動作し、搬送ルートの自由度を高めます。AGV導入によるレイアウト制約を最小限に抑えたい現場において、この機動力は大きな価値を持ちます。

V1000H-B:誘導方式の多様化で現場環境にフィット

V1000H-Bのもう一つの強みは、使用環境に応じて「磁気誘導方式」「レーザー誘導方式」「磁気・レーザー併用方式」のいずれか、または組み合わせが選択できる点です。これにより、導入現場の構造や障害物の有無、屋内外の切り替えなどに応じた最適な誘導方式が選べ、既存の設備との親和性も高くなります。

例えば、磁気誘導は予測性と安定性に優れており、床面にガイドテープを設置するだけで経路が固定される一方、レーザー誘導は環境変化に柔軟で、再設定も容易です。両者を併用するハイブリッド方式では、複雑な構内でも高精度な走行が可能になります。これは多品種少量生産や多様な物流フローに対応する現場にとって、極めて有用な機能です。

V1000H-Bの屋外性能:傾斜・段差・雨にも対応

V1000H-B:最大6%の傾斜と15mmの段差をクリア

一般的なAGVはフラットな屋内床面での使用を前提としていますが、V1000H-Bはそれにとどまらず、屋外や構内の舗装面・スロープといった不整地での運用に対応しています。最大登坂能力は6%で、物流センターのスロープや工場構内の傾斜部分もクリア可能です。

また、15mmまでの段差(直角段差)を乗り越えられるため、構内の敷居や段差、床のつなぎ目といった小さな障害を自動で突破できます。これは、段差や勾配のある環境でもレイアウト変更なしにAGV導入が可能になることを意味し、現場への負担を軽減します。

V1000H-B:IPX3の防水性と水溜まり走行

V1000H-Bは防水規格としてIPX3相当の性能を備えており、小雨や霧、天候変化のある屋外環境でも安定した稼働が可能です。さらに、雨水が溜まった路面を走行できるよう設計されているため、全天候型の搬送ソリューションとして、搬送の中断リスクを抑えることができます。

天候に左右されない運用は、出荷工程や屋外保管場との連携時など、タイムクリティカルな搬送計画において大きなメリットとなります。

V1000H-Bの安全性と制御精度

V1000H-B:停止精度±10mmの精密制御

V1000H-Bの磁気誘導方式を用いた場合の停止精度は±10mm。この高い精度により、リフトとの連携やピックアップ・ドロップポイントへの正確な停車が可能です。積載・取り下ろしを自動化する際、停止誤差が少ないことは、ライン全体の安定稼働に直結します。

高精度制御はまた、作業者の安全確保にも直結しており、想定外の動きや誤停車によるリスクを大幅に減らします。誤差が少ないということは、マテリアルハンドリングの一貫性にも寄与し、作業効率全体を高める要素となります。

V1000H-B:全周囲安全装置で現場の安全を確保

AGVの導入にあたり最も重要視されるのが、安全性能です。V1000H-Bは、全周囲に障害物センサーと安全バンパーを備え、人との接触や事故リスクを最小限に抑えます。さらに、非常停止ボタンや走行時のメロディホーンにより、視覚・聴覚双方への注意喚起を行います。

人と機械が共存する現場では、安全装置が機能することで、安心して共存作業が行える環境が整います。こうした装備は、安全性を担保しながら自動化を推進する上で不可欠です。

V1000H-Bの稼働効率とインフラ対応

V1000H-B:7時間の連続稼働と非接触充電方式

V1000H-Bは、積載率50%時において約7時間の連続稼働が可能です。多くの現場における1シフト(約8時間)での運用を想定した場合でも、途中充電なしでの運用が現実的です。また、非接触型充電方式を採用しているため、ドッキング精度や接点摩耗といった課題から解放され、充電作業の完全無人化が可能となります。

この仕様は、無人搬送システムの完全自律化を目指す現場において、メンテナンス負荷や稼働中断リスクを抑える効果が期待できます。

V1000H-B:無線通信とリチウムバッテリーによる柔軟運用

通信は無線式を採用しており、レイアウト変更や経路設定の柔軟性が確保されます。構内レイアウトや運用ニーズが頻繁に変わる現場でも、柔軟に対応できます。

電源にはDC24V 35Ahのリチウムイオンバッテリーを使用しており、鉛蓄電池に比べて軽量かつ長寿命であり、充電時間の短縮や稼働時間の最適化にも貢献します。

V1000H-Bの構造仕様とカスタマイズ性

V1000H-B:昇降機構を備えたスリムボディ

V1000H-Bの本体寸法は、長さ1,200mm、幅900mm、高さ320mmと、AGVとしてはコンパクトな部類に入ります。このスリムな設計は狭い通路でも搬送を可能にし、既存の通路幅を広げるなどの大がかりな改修工事を必要としません。

加えて、100mmの昇降ストロークを持つリフト機構が標準搭載されているため、地面から少し高い位置にある台車や架台への直接の積載・引取が可能です。製造ラインとの連携や出荷台への受け渡しを自動化する場面でも重宝される機能です。

また、同製品はカスタマイズ対応にも力を入れており、現場特有の荷姿や搬送パターンに応じた仕様変更にも柔軟に対応します。これにより、より現場にフィットした運用が可能となります。

V1000H-Bまとめ:多用途現場で選ばれる信頼のAGV

V1000H-Bは、従来AGVの運用を難しくしていた「段差」「傾斜」「天候」といった屋外・不整地環境に対応することで、導入可能な現場の幅を大きく広げました。最大1トンの高耐荷設計に加え、高精度制御と全周囲の安全装備、そして長時間稼働と非接触充電のインフラ対応により、屋内外のハイブリッド運用にも耐えうる仕様です。

これからAGVを検討する企業にとって、V1000H-Bは単なる選択肢の一つではなく、導入のハードルを下げてくれる革新的な存在です。

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