生産現場や物流倉庫に求められるスピードと効率は、年々高まっています。
「人手不足」「生産性向上」「24時間稼働」──この3つのキーワードが、現場改革を迫る中、従来型のAGV(無人搬送車)では限界を迎えつつあります。

もし、夜間も休日もノンストップで働き続けるAGVが手に入ったらどうなるでしょうか。
生産性は飛躍的に向上し、人件費は大幅に圧縮され、現場の競争力は一変します。

その鍵を握るのが、「24時間無人稼働に対応するAGV」です。
しかし、ただ長時間走れるだけのAGVを選んでしまうと、思わぬ落とし穴にはまることもあります。

この記事では、長時間稼働と自動充電を兼ね備えた本当に使えるAGVを選ぶために知っておくべきポイントを徹底解説します。

なぜ24時間無人稼働に対応できるAGVが求められるのか

生産現場や物流倉庫では、人手不足と生産性向上が大きな課題となっています。その解決策の一つが「24時間無人稼働」。夜間や休日もノンストップで作業を継続できれば、生産効率は大幅に向上し、人件費削減も期待できます。

ただし、そのためには従来型のAGVでは不十分です。長時間稼働と自動充電機能を兼ね備えた、特別なAGVが必要となります。

長時間稼働に必要なAGVスペックとは

稼働時間の目安と求められるバッテリー性能

一般的なAGVの稼働時間は8〜10時間程度です。しかし、24時間無人稼働を目指すなら、バッテリー交換や長時間充電に頼るわけにはいきません。

【表】AGVの稼働時間と必要要件比較

稼働時間帯従来型AGV24時間対応型AGV
日中稼働(8〜10時間)バッテリー充電1回で可余裕で対応可能
昼夜連続(16〜20時間)バッテリー交換必要中間充電 or 大容量バッテリー
24時間連続ほぼ不可自動充電システム必須

大容量バッテリー搭載だけでなく、効率的な充電インターバル設計も重要になります。

バッテリー種類と耐久性の違い

バッテリーの種類によっても長時間稼働性能は大きく変わります。

【表】AGV用バッテリー種類別比較

バッテリー種類特徴向いている稼働スタイル
鉛バッテリー低コストだが充電時間長い短時間稼働・交換前提
リチウムイオンバッテリー高価だが高速充電・長寿命長時間・頻繁な連続稼働

24時間無人稼働には、リチウムイオンバッテリー搭載モデルがほぼ必須となります。

自動充電機能の重要性と選び方

自動充電とは何か

自動充電とは、AGVが自律的に充電スポットに移動し、充電を開始・終了できる機能を指します。人が介在せず充電できるため、完全無人運用が可能になります。

【自動充電の基本フロー】

  1. AGVのバッテリー残量が一定以下になる
  2. 走行指令を中断し、最寄りの充電スポットへ移動
  3. 自動ドッキングし充電開始
  4. 充電完了後、自動でタスク復帰

これにより、作業停止リスクを最小限に抑えることができます。

自動充電方式の種類と比較

【表】自動充電方式の違い

方式特徴メリットデメリット
接触式(ドッキング)接点で直接充電高速充電可能、確実性高い接点の磨耗、位置合わせ精度必要
非接触式(ワイヤレス)電磁誘導で充電接点不要、耐久性高い充電速度遅め、コスト高

常時24時間稼働を求めるなら、接触式自動充電を基本に選ぶべきです。

なお、自動充電対応AGVの選定・運用におけるよくあるミスについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

AGVが24時間無人稼働できない?長時間運用・自動充電対応ミスを防ぐ注意ポイント

稼働時間最適化のための運用設計ポイント

充電スケジュール設計の重要性

ただ高性能なAGVを導入しても、運用設計を誤れば効果は半減します。特に充電スケジュールは重要で、「作業ピーク外の時間帯に自動充電を集中的に行う」設計が求められます。

【最適な充電スケジュールイメージ】

  • 8:00〜18:00 高稼働タイム(生産・搬送集中)
  • 18:00〜20:00 作業量減少(この間に充電)
  • 20:00〜8:00 無人夜間稼働

このリズムを前提に、AGV台数やバッテリーサイズを設計することがポイントです。

台数と稼働ローテーションの設計

24時間体制を無理なく実現するためには、複数台のAGVによる「ローテーション運用」も効果的です。

【表】単独稼働 vs ローテーション稼働の比較

項目単独稼働ローテーション稼働
バッテリー負荷高い分散できる
連続稼働時間制限ありほぼ無制限
故障リスク高い(酷使)分散できる

無理のない稼働計画こそが、安定した24時間運用のカギとなります。

長時間・無人稼働対応AGVを選ぶポイントまとめ

ここまで紹介した要素を整理すると、24時間対応AGVを選ぶポイントは明確です。

【表】24時間無人稼働対応AGV選定ポイント

チェックポイント理想的な仕様
バッテリー種類リチウムイオン
稼働時間設計自動充電込みで24時間カバー
自動充電方式接触式ドッキング
台数設計ローテーション可能な複数台体制
充電スケジュール作業ピーク外に集中

これらを満たすAGVであれば、無人化・省人化に大きく貢献できるでしょう。

まとめ|24時間無人稼働対応AGVで、生産現場の限界突破を

24時間無人稼働を実現するためには、単に高性能なAGVを選ぶだけでなく、運用設計や充電インフラまでを見据えたトータル設計が不可欠です。

現在の生産・物流現場では、24時間止まらないラインが競争力の源泉になっています。
だからこそ、適切なAGV選びと運用設計によって、未来の現場作りを一歩先取りしていきましょう。

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