工場や倉庫の自動化が進む中で、意外な壁となるのが「狭すぎる通路」。
せっかくAGVを導入しても、通れない、曲がれない、止まれない──そんな課題に直面していませんか?

現場では、幅800mmの棚間通路、曲がり角に設置された設備、頻繁に行き交う作業員たち。
大型AGVではスムーズな搬送が難しい現実があり、無理に導入すれば搬送遅延や事故リスクが高まる恐れもあります。

しかし、適切な省スペース対応AGVを選定すれば──
通路幅の制約を乗り越え、「狭い現場でも止まらない搬送」を実現することが可能です。

本記事では、狭小現場で本当に使えるAGVを選ぶためのポイントを、
現場リアリティに即した課題と解決策を交えながら、徹底的に解説していきます。

省スペース現場でAGV導入が難しい理由

通路幅・旋回スペースが限られる現場構造

幅800mmしかない棚間通路にAGVが進入したとたん、人と鉢合わせて立ち往生──。そんなシーンは決して他人事ではありません。狭小現場では、そもそも設計段階から通路幅や旋回エリアが限られているため、通常サイズのAGVでは通行・旋回が難しくなります。

【現場レイアウト比較図】

項目通常工場狭小工場
通路幅1200mm以上800〜1000mm程度
旋回スペース2m四方以上確保1m四方未満も多い
障害物の有無比較的少ない棚・設備が密集

このまま無理にAGVを導入すれば、すれ違い困難、旋回不能、最悪の場合搬送ミスや接触事故を招くリスクがあります。

しかし、小型・高旋回性能AGVを選べば、狭小レイアウトでもスムーズ搬送を実現可能です。

人とのすれ違い・障害物回避が必要な動線

省スペース現場では、AGVが人とすれ違う、障害物を避けながら走行する──という場面が頻発します。

【必要通路幅の目安表】

搬送対象必要通路幅(目安)コメント
人同士約1.2m通常歩行でのすれ違いが可能
AGV+人約1.5〜1.8m安全スペースを確保してすれ違い
AGV同士約2.0m以上衝突リスクを避けるため広めが必要

適正サイズのAGVを導入すれば、すれ違いもストレスなく、作業効率を落とさずに済みます。

小型AGV・コンパクト設計の選定ポイント

本体サイズ・可搬重量・低重心設計のバランス

現場に合わせた最適なAGVを選ぶには、サイズ・重量・重心設計のバランスを見極めることが不可欠です。

【小型AGV選定ポイントまとめ表】

項目推奨目安解説ポイント
本体幅600mm以下棚間通路でも通行可能
可搬重量50〜200kg標準的な搬送対象に対応
本体高さ500mm以下低重心で安定搬送

スペック過剰な大型モデルを導入してしまうと、”通れない”という根本問題を抱えてしまいます。

現場にフィットする省スペース設計なら、狭い通路も“自動で確実に”搬送できる現場に変わります。

必要最小限スペックでの省スペース対応可否

機能を盛り込みすぎれば、本体サイズは大型化してしまいます。必要最小限のスペックで足りるかを見極めることが、省スペース対応AGV選定のコツです。

【スペックと本体サイズのトレードオフ図】

スペック充実↑ → サイズ大型化↑
スペック絞り込み→ → サイズコンパクト化→

※省スペース現場では「必要最小限スペックでの運用」が正解

無理なく使えるコンパクトモデルこそ、狭小現場の未来を変える鍵です。

旋回性能・小回り性能を重視したAGVモデル比較

最小旋回半径/横移動(全方位移動)AGVの違い

通れるだけでなく、”曲がれる”ことが求められる狭小現場。旋回性能は選定の死活条件です。

【旋回性能比較表】

駆動方式最小旋回半径特徴適した現場
差動駆動式約1.0mその場旋回可能、標準型通常倉庫、やや広め
オムニホイール式約0.5m未満全方位移動可棚間、加工機間
四輪独立駆動式約0.6m高精度な旋回・直進性能保管エリア内など

旋回性能を重視すれば、狭小現場でも”止まらない搬送”が可能になります。

オムニホイール・四輪独立駆動モデルの特性

【動き方比較図】

オムニホイール式
→ どの方向にも即座にスライド移動(↑↓←→↖↗↙↘)

四輪独立駆動式
→ 旋回+直進の組み合わせで柔軟に動く(方向転換してから前進/後退)

全方位移動型AGVなら、現場の自由度が格段に広がります。

狭小通路での安全確保とAGV運用注意点

センサー視野範囲と検知精度の最適化

狭い現場では、障害物との距離が常に近いため、センサー性能が命綱となります。

【センサー性能比較表】

センサータイプ視野角特徴適した用途
LiDAR(広角型)270\u00b0360\u00b0高精度・広範囲・死角少狭小通路での障害物回避
超音波センサー90\u00b0180\u00b0近距離用・安価低速運転補助用

最適なセンサー設計で、狭小空間でも安心して無人搬送が行えます。

緊急停止・減速エリアのレイアウト設計

搬送ルートの途中には必ず緊急停止・減速エリアを設ける必要があります。

【緊急停止エリア設計図】

[搬送ルート]
↓
[通常走行エリア]
↓(センサー検知エリアに入ったら減速)
[減速エリア]
↓(異常検知で即停止)
[緊急停止エリア]

適切な減速設計が、事故リスクゼロの搬送を支えます。

狭所特化AGVの活用現場と成功パターン

棚間通路/保管エリア内/加工機間などの事例

【活用事例まとめ表】

現場タイプ搬送対象成功ポイント
棚間通路小型部品小型・全方位移動AGV活用
保管エリア内仕掛品安全重視・低速運用
加工機間部品箱曲がれる・小回りAGV導入

狭スペースでも「止まらない搬送」の実現例

【狭小現場搬送ルートイメージ図】

[スタート]
↓
(直進) → (曲がり角)→(直進)
↓
(停止エリア)→(搬送完了)

適正AGVを選べば、狭くても“ノンストップ搬送”が現実になります。

まとめ|通れるだけではなく”曲がれて止まれる”ことが省スペースAGV選定の要

省スペース搬送で求められるのは、単に「通れる」だけではありません。狭い通路でもスムーズに曲がり、確実に止まれること──これが本当に求められる性能です。

適正な小型AGVと安全設計を導入すれば、搬送効率と現場安全性の両立が可能となり、
“狭いから仕方ない”という制約を乗り越えた、自由な現場づくりが実現できます。

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