株式会社バンテクニカ「小型無人搬送車」：狭小スペースに対応する光学式誘導の省スペースAGV

製造現場や物流拠点において、自動搬送の必要性が増す中で、「通路が狭い」「設置スペースが限られる」「工程ごとにレイアウトが異なる」といった実情に悩む現場は多く存在します。従来型の大型AGVやレーザー誘導式機器は、こうした空間条件に不向きであり、初期投資や導入工事の負担も課題となっていました。

そのような背景を踏まえ、株式会社バンテクニカが開発した「小型無人搬送車」は、光学式誘導・簡易設置・小型設計という特長を備えた実用志向のAGVです。最大牽引荷重250kgを誇りながら、狭小スペースにも柔軟に対応できる旋回性と操作性を両立しています。

本記事では、小型無人搬送車の仕様と機能、運用形式、安全設計、導入メリットについて、すべて事実ベースで詳述します。

株式会社バンテクニカ 小型無人搬送車の構造・性能仕様

光学式誘導がもたらす自由度の高い搬送ルート設計

本製品は、床面に貼付された幅50mmのアルミテープを、車体底部の光学センサーで読み取る「光学式誘導方式」を採用しています。これは従来の磁気式誘導やSLAM方式と異なり、床面加工やマップ構築が不要で、物理的なルート敷設だけで運用が開始できる仕組みです。

走行ルートの変更も容易であり、レイアウトの見直しや搬送ポイントの追加にも対応しやすいため、設備の柔軟性を保ちつつ段階的にAGV化を進める現場に最適です。特に、限られた通路幅や機械間の狭いスペースに対応できる点は、他方式にない大きな利点です。

アドレス制御による安定的かつ正確な動作管理

走行制御には「アドレス指定方式」が導入されています。搬送経路上の特定ポイントに貼られたアドレスマーカーをセンサーが読み取り、その信号に従って加減速、停止、発進、旋回などの動作を実行します。これにより、作業現場ごとの細かな搬送ニーズに対応できます。

たとえば、交差点で一時停止、荷降ろしポイントで10秒間停止後再発進、分岐地点で台車の種類に応じて右折・左折を自動切り替えるといった制御も、アドレス設定のみで簡単に構築可能です。

株式会社バンテクニカ 小型無人搬送車の運用形式と設置性

選べる2タイプ：牽引タイプと台車一体型

小型無人搬送車には、「牽引タイプ」と「台車一体型」の2種のモデルが用意されています。牽引タイプは、カゴ車や6輪台車など市場で一般的に流通している搬送台車をそのまま使用し、最大250kgまでの荷重を牽引できます。搬送対象物のサイズや重さが日々異なる工程や、異種台車が混在する現場では、牽引タイプの柔軟性が重宝されます。

一方、台車一体型タイプでは、搬送車本体に荷物を直接載せる設計となっており、積み替えの手間を省きたい現場や、往復回数の多い定点搬送で効果を発揮します。こちらは12Vバッテリー1台構成のため、牽引タイプより軽量かつエネルギー効率に優れています。

パソコンによる簡易設定と導入即応性

小型無人搬送車は、パソコン上で走行パターンの設定が可能です。専用ソフトを使えば、搬送ルートの登録、アドレスとの連携、各動作ポイントの指示などをGUIベースで操作できます。設定作業は配線不要で、ITに不慣れな作業者でも直感的に対応できます。

特に、ライン構成や作業時間が頻繁に変動する現場では、現場担当者自身が運用を更新できるという点が大きな利点です。設備エンジニアによる都度対応が不要となり、導入後の運用コストを大幅に抑制できます。

株式会社バンテクニカ 小型無人搬送車の安全設計と現場対応力

赤外線センサーによる障害物検知と自動停止

安全対策として、車両前部には赤外線センサーが標準搭載されています。作業員や障害物を検知すると自動停止し、再発進は指示があるまで行いません。センサーは一定距離を常時監視しており、人との混在エリアでも安心して使用できます。

この機能は、フォークリフトや歩行者が往来する共有通路や、視界の悪い交差点で特に効果を発揮します。誤発進や衝突リスクを回避し、安心・安全な搬送環境を構築できます。

パトライトとメロディホンによる周知機能

視認性・聴覚性にも配慮されています。走行中はパトライトが点灯し、メロディホンが定期的に音を発して周囲に接近を通知します。作業者が不意に車両と接触するのを防ぎ、危険予知活動（KY活動）の一環としても効果的です。

株式会社バンテクニカ 小型無人搬送車の環境適合性と導入メリット

狭小スペース対応：旋回半径400mmの高機動性

小型無人搬送車は、最小旋回半径400mmという高い小回り性能を実現しています。たとえば、搬送通路が幅1,000mmしかないような現場でも、無理なく旋回・転回ができるため、通路レイアウトを変更せずにそのまま導入可能です。

この旋回性は、通路が複雑に入り組んだ製造ラインや、加工機械が密集する組立工程において高く評価されており、「今までAGVが通れなかった場所」に新たな搬送可能領域をもたらします。

導入コスト・メンテナンスの最小化

初期導入費用が比較的安価であることも本製品の大きな特長です。光学式誘導は、床加工やマッピング、センサースキャンなどの前準備を必要とせず、アルミテープとアドレスマーカーの敷設だけで完結します。

また、バッテリー交換・テープの貼替・アドレス追加など、日常的な保守作業も現場作業者自身で対応可能な設計となっており、定期的な専門メンテナンスに依存しない点も中小規模現場に適しています。

バンテクニカ 小型無人搬送車が実現する省スペース・低負荷型の自動搬送

株式会社バンテクニカの「小型無人搬送車」は、省スペース・低速搬送・簡易操作という3つの特長を軸に、搬送自動化の実現可能性を広げる製品です。最大250kgの牽引力を持ちつつ、光学式誘導とアドレス制御により、走行の安定性と安全性も高い水準を確保しています。

導入のしやすさ、運用の柔軟さ、現場対応力の高さにおいて、まさに「初めてのAGV」にふさわしい選択肢であり、設備投資に慎重な現場にとっても導入効果の高い製品と言えるでしょう。