「どのAGVメーカーが自社に最適か、すぐに答えられますか?」
AGV(無人搬送車)は、工場や物流現場の自動化において、今や欠かせない存在です。とはいえ、「AGVを導入したい」と思っても、国内外に数多くあるメーカーの中から、どこを選ぶべきか悩む担当者は少なくありません。
メーカーによって、得意とする搬送方式・導入サポートの体制・価格帯・対応は大きく異なります。
価格や有名度だけで選ぶと、思わぬミスマッチや運用負荷に悩まされることも——。
本記事では、2025年最新版の主要AGVメーカーを、国内外に分けてわかりやすく紹介。さらに、タイプ別の選び方や比較表、判断フローチャートまで網羅し、「結局どこが合うのか?」の答えに近づける構成にしています。
あなたの現場にベストな1社を見つけるヒントに、ぜひお役立てください。
AGVメーカーを比較する前に押さえておきたいポイント
AGVを製造・提供するメーカーは、技術だけでなく「導入支援力」「保守体制」「現場理解力」にも大きな差があります。以下のような視点で比較することが、失敗しない選定の第一歩です。
検討すべき比較軸
- 取扱いAGVのタイプ(牽引型、パレット型、AMR型など)
- 得意とする業界や搬送シーン
- 保守対応(オンサイト対応/遠隔支援/全国拠点)
- 導入実績・信頼性
- WMS・MESとの連携対応
国内主要AGVメーカー(2025年版)
トヨタL&F
- 特徴:国内シェアはトップクラス(出典:富士経済「物流自動化市場の現状と将来展望 2023」)。フォークリフトと一体型提案が可能
- 強み:保守網の広さ、信頼性の高さ、社内連携製品との親和性
- 向いている現場:製造業、物流倉庫、トヨタグループ
オークラ輸送機
- 特徴:ライン構築やマテハン全体を含めたトータル提案力
- 強み:工程全体での最適化、カスタマイズ性
- 向いている現場:組立工程のある工場、食品・医薬系
ダイフク
- 特徴:物流ソリューションの一括提案に強み
- 強み:搬送・保管・仕分けを一体で構築できる
- 向いている現場:大規模物流センター、DC、EC倉庫
村田機械
- 特徴:小型・中型AGVに強く、多様なラインアップ
- 強み:フレキシブルな運用設計、導入支援
- 向いている現場:部品工場、工程内搬送、小〜中規模現場
その他の国産メーカー
- 松下(パナソニック)・ユニバンス・タカラエンジニアリングなど
- ※一部メーカーでは事業再編や製品ラインの見直しが進んでおり、最新の公式発表を確認のうえ検討されることを推奨します
- 特定業種・構内環境に特化したAGVを展開
海外主要AGV/AMRメーカー(2025年版)
Geek+(中国)
- 特徴:ピッキングロボットの先駆け。AMRが中心
- 強み:スピード感ある開発、AI連携、コストパフォーマンス
- 留意点:一部製品は安価な一方、耐久性や長期稼働の安定性に課題があるとの指摘もあり、実証テストやサポート体制の確認が重要(参考:NEDO報告書)
- 向いている現場:EC倉庫、仕分け業務、柔軟性重視の倉庫
Hikrobot(中国)
- 特徴:豊富なラインアップとグローバル展開
- 強み:シャトル型・AMR・高層対応の機種が多い
- 留意点:中国国内や海外では豊富な実績があるが、日本での導入時は代理店経由になることが多く、サポート体制の確認が必要
- 向いている現場:多段ラック、ピッキング、3PL拠点
KUKA(ドイツ)
- 特徴:ロボットメーカーならではの工業設計
- 強み:大型AGVや複雑制御への対応
- 向いている現場:自動車工場、重工系、エンジニアリング要求が高い現場
MiR(デンマーク)
- 特徴:シンプルで柔軟なAMRを展開
- 強み:地図登録・自己位置認識、ユーザーフレンドリーなUI
- 向いている現場:多品種少量生産現場、研究所、混在環境
国内外メーカー比較一覧表
メーカー名 | 対応タイプ | 得意業界 | 強み | サポート体制 |
---|---|---|---|---|
トヨタL&F | AGV(牽引・パレット) | 製造、物流 | 信頼性、拠点網 | 全国対応、現地保守 |
オークラ輸送機 | AGV | 食品、医薬 | ライン構築、特注対応 | 国内拠点多数 |
村田機械 | AGV(小型〜中型) | 部品搬送、工程内移動 | 柔軟性、レイアウト適応力 | 全国対応 |
京町産業車輌 | AGV(台車型) | 中小工場、工程内 | 低価格、現場特化設計 | 地域密着、直接対応あり |
タカラエンジニアリング | AGV(無軌道・磁気誘導) | 中小製造業 | 1台からの導入対応、特注性 | 地域対応、直販体制 |
ユニバンス | AGV(搬送車・特化型) | 多品種製造、構内搬送 | 国内製造、堅牢設計 | パートナー経由 |
Geek+(中国) | AMR | EC、物流倉庫 | 柔軟性、コストパフォーマンス | 日本法人あり |
Hikrobot(中国) | AMR、シャトル | 3PL、倉庫 | 機種展開力 | 代理店経由 |
MiR(デンマーク) | AMR | 研究所、混在エリア | 導入のしやすさ | 国内正規代理店あり |
KUKA(ドイツ) | AGV(大型・協働型) | 自動車、重工 | 工業設計、制御技術 | 国内技術代理店あり |
タイプ別に見るメーカーの選び方
保守性・サポート重視型
- トヨタL&F、オークラ輸送機、村田機械など
コストパフォーマンス重視型
- Geek+、Hikrobot など
柔軟な環境対応型(AMR志向)
- MiR、Hikrobot、KUKA
カスタマイズ・工程特化型
- 中堅・中小国産メーカー(例:医薬品搬送特化など)
本マップは各メーカーの参考価格帯と、国内における保守体制(全国対応・代理店経由・地域限定など)を基準に分類したものです。中小企業や特注対応が必要な現場では、タカラエンジニアリングや京町産業車輌のような柔軟な体制を持つメーカーも有力候補になります。
保守体制 | ||
---|---|---|
価格帯 | 高価格 × 強い保守 トヨタL&F、オークラ輸送機 | 低価格 × 強い保守 村田機械、ユニバンス、タカラエンジニアリング |
高価格 × 限定保守 KUKA、MiR | 低価格 × 限定保守 京町産業車輌、Geek+、Hikrobot |
業界別で見るメーカーの適合マップ
メーカー選定は、価格や保守性だけでなく、「どの業界に強いか」という観点も大切です。以下の表では、製造業・物流・ECなどの業種ごとに、適したAGVメーカーを整理しました。
業界 | 適したAGVメーカー | 適合理由・補足 |
---|---|---|
製造業(自動車・機械) | トヨタL&F、KUKA、村田機械 | 工程間搬送・自動ライン・高可搬荷重に対応 |
食品・医薬品 | オークラ輸送機、松下(パナソニック)、タカラエンジニアリング | 衛生対応・クリーン搬送・少ロット導入への柔軟性 |
物流倉庫・3PL | ダイフク、Geek+、Hikrobot | 大量搬送・ピッキング・仕分けに強み |
ECフルフィルメント | Geek+、MiR、Hikrobot、ユニバンス | 柔軟レイアウト、多品種少量、AMR活用 |
研究所・多目的施設 | MiR、村田機械 | 静音性・人との共存・狭小空間対応 |
中小製造業・現場特化型 | 京町産業車輌、タカラエンジニアリング、ユニバンス | 1台からの導入可、特注対応、工程への柔軟な設計 |
判断に迷ったら?選定フローチャート
※以下のフローチャートで、自社に適したメーカーの選定方針を整理できます。
Q1: 搬送ルートは固定されていますか?
└ YES → Q2 へ
└ NO → AMRを中心に扱う海外メーカー(Geek+、MiRなど)も検討対象に
Q2: 保守対応を自社拠点で受けたいですか?
└ YES → 国内大手メーカー(トヨタL&F、オークラ輸送機など)がおすすめ
└ NO → Q3 へ
Q3: コストを最優先に導入したいですか?
└ YES → コスト重視の海外AMRメーカー(Hikrobot、Geek+など)を検討
└ NO → 工程や業界特化の中堅メーカー(村田機械など)を検討
まとめ|AGV選びは“どのメーカーと組むか”がカギ
AGVやAMRの性能はもちろん重要ですが、それ以上に“どのメーカーと導入を進めるか”が成果を左右します。価格・機能だけでなく、現場との相性や支援体制まで見据えて、自社に最適な選定を行いましょう。
※本記事は、各メーカーの公式発表・業界レポート・展示会出展情報(国際物流総合展など)をもとに編集しています。メーカーの動向は変化するため、詳細は各社に最新情報をご確認ください。