AGV(無人搬送車)の導入が、工場や物流現場の省人化・効率化を進める上で、ますます注目を集めています。人手不足や労災リスクの高まり、さらには深夜・休日の無人稼働の実現など、さまざまな課題を抱える現場にとって、AGVはもはや「選択肢」ではなく「必要なインフラ」になりつつあります。

しかし、いざ導入を検討しようとすると、「どのメーカーを選べば良いのか」「どんな機種が自社に合うのか」がわからず、判断に迷う現場担当者は少なくありません。

本記事では、2025年最新版として、主要AGVメーカーの特徴と主力機種を比較しながら、導入目的別の選び方や、失敗しないための注意点、補助金活用の最新情報まで、包括的に解説します。特に今回は、製造業・物流業など業界ごとに最適な選び方や事例も整理し、現場に合ったAGV導入をサポートします。

※掲載している情報は2025年3月時点のものであり、製品スペック・価格・補助金制度等は変更となる可能性があります。最新情報は各メーカー公式サイト・補助金公式ページなどをご確認ください。

AGVとは?基本と2025年の最新トレンド

AGVとAMRの違い

AGVはあらかじめ決められたルートに沿って走行する無人搬送車であり、磁気テープやQRコードなどでナビゲーションします。一方で、AMR(自律移動ロボット)は環境をセンサーで認識し、自ら最適ルートを判断して移動する点でAGVと異なります。

2025年注目の技術動向

  • AIによる経路最適化と障害物回避
  • クラウド連携でのリアルタイム監視
  • サブスクリプション型AGV導入モデルの普及

業界別:AGVが活躍する現場と課題

製造業

  • 課題:ライン間の供給業務が人手に依存、搬送中の品質リスクも
  • 解決策:定時搬送+品質トレーサビリティ向上

物流倉庫

  • 課題:庫内の仕分け・搬送に人手と時間がかかる
  • 解決策:AGVで庫内導線を最適化、夜間稼働も視野に

食品・医薬品

  • 課題:衛生管理や異物混入リスク、正確な搬送が求められる
  • 解決策:自律走行+無接触搬送でGMP対応

AGV選定時の比較ポイント:目的・環境・拡張性

1. 導入目的に合っているか

  • 単純搬送か?多品種混載対応か?
  • 夜間稼働を想定しているか?

2. 積載重量・牽引力

  • 軽量(100kg以下)〜重量(1トン以上)まで幅広い選択肢

3. 走行方式

  • 磁気テープ式(導入しやすいが柔軟性に欠ける)
  • SLAM方式(環境変化に強く柔軟だが、コスト高)

4. 設置環境との適合性

  • 狭小スペースや段差の有無、床面状態

5. システム連携・拡張性

  • WMSやMESとの接続性
  • 他のロボットとの協調動作が可能か

あなたに合ったAGVがわかる診断チャート

※以下は簡易的な目安となります。最終的な機種選定には、現場環境・運用要件の詳細な確認が必要です。

  1. 搬送する荷物は100kg以上か?
  • Yes → 重量物対応型AGVを検討
  • No → 小型・省スペース型が適合
  1. 搬送経路は毎日変わるか?
  • Yes → SLAM方式のAMRタイプが向いている
  • No → 磁気誘導式でも対応可能
  1. WMSと連携したいか?
  • Yes → API連携・制御ソフトを要確認
  • No → 単独稼働型でもOK

主要AGVメーカー・機種比較【2025年版】

※スペック・価格は各社の公式サイト・展示会資料などを参考にした2025年3月時点の目安です。

メーカー名主力機種走行方式積載能力特徴価格帯(目安)
ZMPCarriRoSLAM150kg中小製造業向け、柔軟なカスタマイズ約150〜250万円
オムロンLDシリーズ自律移動~130kg医薬・食品業界で高評価約300〜500万円
川崎重工Fシリーズ磁気テープ式1,000kg以上重量物・屋外対応も可要見積もり
MiR(デンマーク)MiR250/600SLAM250〜600kg自律走行+多機能拡張性約400〜700万円(参考)
日立物流RACs磁気誘導式~1,000kg大型物流センター向け要見積もり

目的別おすすめAGVタイプ

軽量物・省スペース搬送に強い

  • ZMP CarriRo
  • MiR250

重量物・長距離搬送が得意

  • 川崎重工 Fシリーズ
  • 日立物流 RACs

自律走行で柔軟な運用が可能

  • オムロン LDシリーズ
  • MiRシリーズ

よくある失敗とその回避策

失敗1:スペックだけで選んだ

実際の走行環境や導入目的を十分に検討せず、スペックだけで判断すると、期待した効果が出ないことがあります。

→ 対策:現場の動線・床材・作業フローを踏まえた選定が必要

失敗2:既存システムと連携できなかった

AGV導入後に、WMSやERPと接続できず運用に支障が出るケースも。

→ 対策:事前にシステム対応範囲・API提供の有無を確認

失敗3:想定より速度や作業効率が上がらなかった

速度・精度・走行ルートは現場により大きく変動します。

→ 対策:導入前にテスト走行・シミュレーションを実施する

導入事例:AGVで現場はどう変わったか?

※以下の事例は、複数企業での導入実績をもとに再構成した内容であり、特定の企業・案件を示すものではありません。

製造業A社(自動車部品)

  • 課題:ライン間の部品供給で人手不足
  • 導入:ZMP CarriRo(10台)を配備
  • 効果:搬送作業を85%自動化、作業員を他工程へ再配置

物流業B社(3PL事業)

  • 課題:庫内搬送の人手コスト高騰
  • 導入:MiR600を導入し、ラック搬送を自動化
  • 効果:作業効率20%向上、夜間無人稼働も可能に

AGV導入費用と補助金活用(2025年最新)

費用感の目安(システム含む)

  • 小型AGV(単体):150万〜300万円
  • 中型AGV(WMS連携込み):400万〜800万円
  • 大型・多機能型:1,000万円以上〜

※実際の導入費用は、台数・仕様・システム構成・現場対応内容により大きく変動します。

活用できる補助金

  • ものづくり補助金(※最大1,250万円、補助率最大2/3:2025年3月時点の情報)
  • IT導入補助金(ソフト連携型AGVも対象)
  • 自治体補助(都道府県によって異なる)

※申請制度・条件は変更される可能性があります。必ず最新の公募要領をご確認ください。

導入ステップと期間の目安

導入の一般的な流れ

  1. 現場ヒアリング・課題整理
  2. システム構成と見積もり提案
  3. 補助金申請(必要に応じて)
  4. 設置・テスト稼働
  5. 社員教育・本格稼働

期間の目安

  • 通常:3〜6ヶ月
  • 補助金活用時:6〜9ヶ月程度(審査期間含む)

まとめ

AGV導入は、自社の課題や作業環境に合った製品を選ぶことが成功のカギです。単にスペックで比較するのではなく、運用・拡張性・連携の視点からも検討し、可能であれば専門家や導入支援会社と一緒に進めるのが安心です。

各メーカーの強みや事例を把握し、自社に最適なAGV選定を進めましょう。