「デンソーは部品メーカーだから、期間工の中では楽な方らしい」

応募を考えて調べていると、そんな情報を見かけることがあります。

たしかに、まったく根拠のない話ではありません。

デンソー自身も、細かい部品を多く扱うため手先を使う作業が多く、車体メーカーに比べて身体への負担が少ないことを「働きやすい理由」として紹介しています。

定着率も90%です。

でも、それだけで「じゃあデンソーなら楽そうだ」と考えるのは、たぶん早いです。

募集要項を少し下まで読めば、ラインでの立ち作業があり、重量物や油を扱う仕事もあると書かれています。

通常の2組2交替なら夜勤は1週間おき。残業や休日勤務が発生する場合もあります。

では、実際のところはどうなのか。

実は筆者は以前、デンソーの製造現場で働いていました。

当時の仕事は現在募集されている期間従業員すべてを代表するものではありません。

それでも、実際に現場に入ってみて、「工場の仕事がきついかどうかは、重い物を持つかだけでは分からない」というのは強く感じました。

この記事では「きつい理由5選」のような話だけで終わらせません。

ネットではなぜ「楽だった」という人と「きつかった」という人に分かれるのか。楽な工程とは何なのか。そして、自分なら続けられそうなのか。

そこまで考えてみます。

デンソー期間工が「楽だった人」と「きつかった人」に分かれる理由

ネットの体験談を読んでいて厄介なのは、同じ会社について書いているのに感想がまるで違うことです。

ある人は「思っていたより楽だった」。

別の人は「かなりきつかった」。

こうなると、これから応募する側は困ります。

でも、工場で働いた経験がある人なら、それほど不思議な話でもありません。

一口に「デンソーの期間工」といっても、全員が同じ仕事をするわけではないからです。

公式募集要項でも、業務内容は「自動車部品等の製造作業他」とされ、実際に何を担当するかは会社が決定するとされています。配属される工場も会社側が決めます。

それだけではありません。

同じような仕事でも、本人が何を苦手としているかで感じ方はかなり変わります。

夜勤は平気だけど、同じ場所に立ち続けるのが苦手な人。

立ち仕事は平気だけど、細かな作業を延々続ける方がしんどい人。

決まった仕事を繰り返す方が気楽な人。

逆に、毎日同じような作業だと息が詰まる人。

そう考えると、「デンソーは楽か、きついか」という質問自体が少し大ざっぱなんです。

本当に知りたいのは、自分にとって何がきつそうなのかではないでしょうか。

「小さな部品だから楽」は、そこだけ見れば間違っていない

デンソーが完成車メーカーとは違う、というのは大きなポイントです。

公式採用サイトでも、デンソーは部品メーカーなので細かい部品を多く扱い、車体メーカーに比べて身体への負担が少ないと説明しています。

車のドアやシートのような大きな部品を次々と扱う仕事を想像していた人なら、ここは少し安心材料になるでしょう。

ただ、その説明だけを切り取ってしまうと、実際よりずいぶん楽な仕事に見えてしまいます。

募集要項には、重量物を扱う作業もあるとはっきり書かれています。

持ち上げ・持ち運びは男性20kg、女性15kgまで。

ラインでの立ち作業や油を扱う工程もあります。

全員が重量物を持つわけではありません。

でも、逆に「デンソーなら重量物はない」とも言えません。

このあたりは、ネットの記事を読むときにも少し気をつけた方がいいところです。

「部品メーカーだから身体への負担が少ない」という会社全体の傾向と、「自分が配属される仕事が楽かどうか」は別の話です。

重い物を持たなくても、工場の仕事は普通に疲れる

これは実際に工場で働いてみないと、少し想像しにくいかもしれません。

20kgの部品を持つ仕事なら、見るからに大変そうです。

でも、重い物をほとんど持たない仕事なら疲れないのかというと、そんなこともありません。

立ったまま同じ動きを繰り返す。

手を止めずに作業を続ける。

決められたペースに合わせる。

一つ一つはたいした動きではなくても、それを何時間も続けると話は変わります。

だから、期間工を選ぶときに「重量物があるか」だけ確認しても十分ではありません。

むしろ、自分が過去に働いた仕事を思い出した方が判断しやすいと思います。

立ちっぱなしは平気だったか。

単純な作業を何時間も続けるのは苦にならなかったか。

決められたペースで動く方が楽だったか。それとも、自分で仕事の順番を組み立てる方が好きだったか。

この辺りで「自分はたぶん大丈夫」と思える人と、「いや、これはきつそうだ」と思う人に分かれてきます。

仕事内容より、夜勤の方が合わない人もいる

デンソー期間工を検討するとき、仕事内容と同じくらい見ておきたいのが勤務時間です。

通常の2組2交替では、5日働いて2日休み。夜勤は1週間おきです。

デンソーにはこのほかにも3組2交替、昼勤短時間3交替など、複数の勤務形態があります。

ここは、人によってかなり差が出ます。

夜に起きていること自体は平気でも、「昼に働く週」と「夜に働く週」が入れ替わる生活が合うとは限りません。

逆に、交替勤務を経験したことがあり、それほど苦にならなかった人なら、仕事を選ぶうえで大きな障害にならない可能性もあります。

問題は、応募するときに「昼勤だけにしてください」とは言えないことです。

公式FAQでも、勤務時間の希望は出せず、昼勤・夜勤の両方に対応できる人を募集していると明記されています。

ここは、ネットの「楽な工程」を探すより先に考えた方がいいかもしれません。

夜勤がどうしても無理なら、仮に身体的に楽な工程に配属されたとしても、結局つらくなる可能性があります。

【デンソー期間工の勤務時間は?夜勤・残業・休日・有給を解説】

私がデンソーで一番神経を使ったのは、力仕事ではなかった

私がデンソーで働いていた頃は、ディーゼルインジェクタの製造に携わっていました。

担当していたのは、複数の設備を動かしながら加工状態を見たり、寸法や外観を確認したりする仕事です。

その経験を思い返しても、「とにかく重い物を運んできつかった」という印象はあまり強く残っていません。

それより神経を使ったのは、異常を見逃さないことでした。

工場では、自分のところで仕事が終わるわけではありません。

次の工程があります。

だから、おかしいと思ったものを「たぶん大丈夫だろう」で流すわけにはいかない。

必要なら設備を止める。

現場にいた頃は、そういう判断の方に気を使っていました。

もちろん、これは私が当時担当していた工程の話です。

現在の期間従業員が同じ仕事をするわけではありませんし、これを「デンソー期間工はこういう仕事だ」と一般化するつもりもありません。

ただ、工場仕事について一つ言えるのは、身体が疲れる仕事と、神経を使う仕事は別物だということです。

「部品が軽いなら自分でも余裕だろう」と思っている人には、この部分は少し知っておいてほしいと思います。

逆に、仕事を覚えてしまえば楽になるところもある

ここまで読むと、なんだか大変な仕事に見えてきたかもしれません。

でも、工場には工場なりの働きやすさもあります。

私自身が感じたのは、仕事を覚えてくると「迷う時間」が減ることでした。

最初は設備の扱い方も、仕事の順番も、何を確認するのかも意識しながら動きます。

それが毎日続くと、少しずつ考えなくてもできることが増えていく。

昨日までは手順を頭の中で確認していたのに、いつの間にか普通にできるようになっている。

これはかなり楽になります。

接客のように毎回違うお客さんが来るわけでもなければ、営業のように相手によって話し方を変える仕事でもありません。

ある程度やるべきことが決まっている。

この「決まっている」が窮屈な人もいるでしょう。

でも、逆にそこが楽な人もいます。

私は、この違いが「デンソーは楽だった」「いや、きつかった」という口コミが分かれる理由の一つだと思っています。

じゃあ、デンソーに「楽な工程」はあるのか

ここが一番気になっている人も多いでしょう。

工程によって負担の違いはあります。

これは当然です。

重量物を扱う仕事と、細かな部品を扱う仕事では疲れ方が違います。

ただ、「○○工程なら当たり」と言い切るのは難しいと思います。

たとえば検査。

重い物を持つことが少ないなら、力仕事が苦手な人にとっては当たりに感じるかもしれません。

でも、細かい物を長時間見るのが苦痛な人なら、まったく当たりではないでしょう。

身体を動かし続ける仕事も同じです。

座って細かな作業を続けるより、ある程度動き回っている方が楽だという人もいます。

「当たり工程」という言葉は便利ですが、実際には、

誰にとって当たりなのか

が抜けています。

しかも業務内容は会社側が決めます。

ネットで「ここが楽らしい」という情報を集めるのは悪くありませんが、その工程に配属される前提で応募するのはやめておいた方がいいでしょう。

【デンソー期間工の仕事内容は?配属工程・研修・物流まで】

デンソーに応募する前に分かることは、意外と多い

配属工程までは分からない。

だったら入社してみないと何も判断できないのか。

そんなことはありません。

夜勤があることは分かっています。

勤務時間を自由に指定できないことも分かっています。

立ち作業や重量物を扱う可能性があることも公表されています。

勤務地と業務内容を会社が決めることも分かっています。

この時点で、

「夜勤だけは絶対にしたくない」

という人なら、かなり重要な判断材料になります。

逆に、

「夜勤は経験がある」
「立ち仕事も別に平気」
「コツコツ同じことをするのも嫌いじゃない」

という人なら、少なくとも公表されている働き方を見ただけで諦める必要はなさそうです。

分からないのは、自分がどの工程に入るか。

そして、その仕事を実際に自分がどう感じるかです。

そこまで応募前に確定させることはできません。

だからこそ、分からない部分ばかり検索するより、分かっている条件が自分に合うかどうかを先に考えた方が現実的です。

デンソーの「きつい口コミ」を読むなら、ここを見た方がいい

ネットの口コミを見るときも、単純に「きつかった」「楽だった」という結論だけ拾わない方がいいです。

その人は何をきついと言っているのか。

夜勤なのか。

腰や足なのか。

作業の単調さなのか。

配属先なのか。

人間関係なのか。

ここが違えば、自分にとって参考になる度合いも変わります。

たとえば、夜勤が原因で辞めた人の「デンソーはきつい」という口コミは、夜勤が平気な人にはそのまま当てはまりません。

逆に「小さな部品だから楽だった」という口コミも、同じ工程に入れるわけではない以上、そのまま自分の未来にはできません。

「デンソーはきついか?」ではなく、

「この人は何がきつかったのか?」

まで読む。

それだけで口コミの見え方はかなり変わります。

【デンソー期間工の口コミ・評判は?5ch・知恵袋・体験談を検証】

デンソーの給料が高いのには、勤務条件も関係している

デンソー期間工の月収例は34万4,289円~38万5,397円です。

数字だけを見ると、やはり目を引きます。

ただし、この月収例には21日勤務に加えて、残業20時間、深夜割増57.5時間、交替勤務手当が含まれています。

ここは「きつい」を考えるうえでも切り離せません。

夜勤や残業は負担になる。

一方、それが収入にも反映される。

だから「仕事が大変か」と「給料はいくらか」を別々に見ても、本当の判断はしにくいです。

「この働き方で、この待遇なら自分はどう思うか」。

そこまでセットで見た方がいいでしょう。

給料や満了金については別の記事で詳しくまとめます。

【内部リンク:デンソー期間工の給料・年収を詳しく見る】

デンソーが合わなそうでも、工場勤務そのものを諦める必要はない

ここまで読んで、

「夜勤はちょっと無理だな」

と思った人もいるでしょう。

あるいは、勤務地を選べないのが気になるかもしれません。

それなら、デンソーにこだわる必要はありません。

工場の求人は全部同じではないからです。

扱う製品も違います。

勤務時間も違います。

期間工もあれば、派遣も正社員もあります。

デンソーについて調べて「自分にはここが合わない」と分かったなら、それは無駄ではありません。

むしろ、次の求人を見る基準が一つできています。

夜勤なしを優先する。

通える場所を優先する。

力仕事が少ない求人を探す。

何を優先するかが見えてくると、求人はずいぶん探しやすくなります。

【CTA:自分に合う工場求人を探す】

それでも気になるなら、次は募集条件を確認すればいい

逆に、ここまで読んでも、

「自分ならいけそうだな」

と思ったなら、次は現在の募集条件を確認する段階です。

この記事では「きついかどうか」に絞ったので、応募資格や勤務地、現在の募集状況、応募方法などは詳しく触れていません。

そこまで一度に書いてしまうと、結局何の記事なのか分からなくなるからです。

現在の求人条件については、こちらでまとめています。

【デンソー期間工の求人・募集情報|応募方法と募集要項を解説】

【CTA:現在のデンソー期間工の求人を確認する】

デンソー期間工がきついかどうかより、自分に合うかを見た方がいい

「デンソー期間工はきつい?」

その答えを探してここまで読んだ人には、少し拍子抜けかもしれません。

結局、「人による」のかと。

でも、もう少し正確に言うなら、

何をきついと感じる人なのかによる

だと思います。

デンソーには、部品メーカーならではの身体への負担が比較的小さい仕事があります。これは会社自身も働きやすさとして紹介しています。

その一方で、ライン立ち作業もある。重量物を扱う可能性もある。夜勤もある。仕事内容も自分では決められません。

ここまで分かっているなら、あとは自分側の話です。

夜勤はどうか。

立ち仕事はどうか。

同じ作業を続けるのはどうか。

決められた手順で働くのはどうか。

その辺りを一度、自分の過去の仕事と照らしてみる。

ネットで「楽な工程」を探し続けるより、その方がずっと判断しやすいと思います。

デンソーが合いそうなら、募集条件を確認する。

合わないと思ったら、別の工場を見る。

それでいいと思います。

工場求人を選ぶときに大事なのは、「一番楽そうな会社」を探すことではなく、自分が無理なく続けられそうな条件を見つけることです。