AMRの導入を検討する中で、以下のような課題を感じていませんか?

  • 価格と性能のバランスが分からない
  • 海外メーカーのサポート体制に不安がある
  • 自社の現場に本当に合うモデルがどれか分からない

こうした悩みを持つ導入担当者が今、注目しているのが中国・深セン発のロボットメーカー「Hikrobot(ハイクロボット)」です。本記事では、同社のAMR製品の特徴、価格、導入事例、そして他社比較までを網羅的に解説し、最適な選定ポイントを明らかにします。

Hikrobotとは?

グローバル展開する深セン発のスマートロボティクス企業

Hikrobotは、セキュリティ機器大手Hikvisionのグループ企業として誕生し、AMR(自律走行搬送ロボット)や産業用カメラなどの分野で急成長している中国発のロボティクス企業です。特に中国国内での物流・製造現場での豊富な実績をもとに、近年では欧州・日本を含む海外市場にも積極展開しており、世界的に評価を高めています。

日本国内では、複数の代理店が技術支援や保守対応を行っており、信頼性とサポート体制の整備が進んでいます。

HikrobotのAMR製品ラインの全体像

Hikrobotは、多様なニーズに対応するために、以下のような代表的なAMRシリーズを展開しています:

  • 小型台車型:軽量搬送や人追従用途に適したモデル。倉庫内のピッキング作業支援に特化。
  • 棚搬送型:可搬棚を載せて目的地へ搬送。物流拠点での仕分けや出荷前搬送に最適。
  • 牽引型:複数台車を連結しながらけん引。長距離・大量搬送に強みを発揮。

これらはすべてSLAMやQRコードを活用した高精度ナビゲーションに対応し、現場の変化に柔軟に適応できる設計となっています。

Hikrobot製AMRの主な特徴

特長1:柔軟なラインナップで多様な現場に対応

HikrobotのAMRは、小規模倉庫から大規模製造拠点まで、現場のレイアウトや運用目的に応じたラインナップが用意されています。高さ制限のある通路や狭小エリアにも対応可能なコンパクトモデル、重量物を扱うライン向けの高積載モデルなど、実運用を意識したバリエーションが魅力です。

特長2:価格と性能のバランスが高水準

AMR導入において避けて通れないのがコストの問題です。Hikrobotは、製品単価を抑えつつ、国産メーカーと同等の走行安定性やセンサー性能を実現。とくにSLAMベースの自律走行やマルチ台管理における機能性は、価格対効果の高さを裏付けています。

「PoCでまず1〜2台導入したい」「全体導入前に運用確認したい」という段階でも導入しやすい価格設定となっており、初期検証にも適しています。

特長3:FMSとの連携やソフトウェアの柔軟性

HikrobotのFMS(Fleet Management System)は、マルチ台運用、ジョブ割り振り、優先順位制御などが可能で、工場全体の搬送業務を効率化できます。また、WMS・MES・PLCなど他の現場システムとのデータ連携も柔軟に対応しており、将来的な拡張性にも優れています。

価格帯と導入にかかる費用の目安

本体価格の参考レンジ(モデル別)

モデルや構成によって価格は異なりますが、以下は一般的なレンジの一例です:

  • 小型モデル(60〜100kg積載):約100〜150万円
  • 中型モデル(300〜500kg積載):約200〜300万円
  • 大型・牽引型モデル(600kg以上):約300万円〜

海外メーカーでありながら、価格は比較的導入しやすい設定となっており、特に中小規模の倉庫や製造業でも手が届きやすい水準です。

周辺費用の概要(システム連携・工事など)

費用項目内容目安価格
本体価格小型モデル(例:Mシリーズ)約100〜150万円
システム連携費WMS・FMSとの接続約50〜100万円
周辺機器・工事費Wi-Fi環境整備、安全柵など約30〜80万円
保守・運用費年間の保守契約、教育など年10〜30万円程度

導入事例から見るHikrobotの活用現場

事例1:物流倉庫(小型棚搬送型)

大手物流企業では、Hikrobotの棚搬送型AMRを複数台導入。ピッキング支援や庫内仕分けを効率化し、作業者1人あたりの処理件数が約30%向上したと報告されています。

事例2:製造工場(牽引型)

部品工場では、工程間の部品搬送に牽引型AMRを活用。台車搬送をAMRに切り替えることで、人の移動時間が大幅に減り、稼働率の向上に寄与しました。

事例3:海外拠点(屋内外併用型)

海外の自動車部品工場では、屋外と屋内をつなぐ建屋間搬送に全天候対応型のHikrobotを採用。従来のフォークリフトを置き換えることで、台車の削減と搬送人員の省人化に成功しました。

業種使用モデル導入目的効果
物流倉庫小型棚搬送型ピッキング支援作業時間30%削減
製造業牽引型AMR工程間搬送工数15%削減+安全性向上
海外拠点屋内外併用型建屋間搬送台車数削減+コスト最適化

Hikrobot製AMRの選定ポイントと注意点

選定時に確認すべき4つの観点

  1. 使用エリア:屋内専用か、屋外対応も必要か
  2. 搬送物と重量:搬送対象が軽量物か、パレットなどの重量物か
  3. 連携システム:既存WMSや設備との接続要件があるか
  4. メンテナンス体制:導入後の対応体制と保守費用の確認

他メーカーとの比較で見えるメリット・課題

比較検討を進める際は、AMRメーカー比較2025年版|国内外の主要メーカーと製品の特徴を解説もぜひ参考にしてください。

比較項目Hikrobot製AMR国内中小メーカー大手国内メーカー
本体価格◎(安い)○(機種による)△(高め)
モデル展開◎(豊富)○(特化型多い)◎(多機能)
保守対応△(代理店経由)◎(きめ細かい)◎(全国対応)
カスタマイズ性
国内実績○(増加中)◎(多数)

Hikrobot以外の選択肢も検討する理由

中小メーカー・特化型モデルの強みとは?

Hikrobotが不得意とする細かなニーズ——たとえば以下のような現場に強みを持つのが、国内の中小メーカーです:

  • 極端に狭いバックヤードや通路
  • 段差・スロープの多い工場レイアウト
  • 棚と一体になった専用台車との連携運用

また、開発部門と直接やりとりできるケースも多く、細かな調整やカスタマイズの柔軟性も大きな利点です。

導入現場に合ったAMRを選ぶために必要な視点

以下のチャートを参考に、Hikrobot単体での検討で十分か、それとも他メーカーも検討すべきかを判断してみてください。

Q1:屋外や段差のあるエリアで使いますか?
 → Yes:Hikrobot以外の選択肢も確認を
 → No:Q2へ

Q2:荷物の種類や搬送距離が多様ですか?
 → Yes:柔軟な対応ができる中小メーカーも候補に

Q3:初期コストよりも運用コストを重視しますか?
 → Yes:保守・教育含めたトータル提案ができる代理店が安心

まとめ|Hikrobot製AMRは優秀だが、現場に合うかは別問題

Hikrobot製のAMRは、価格と機能のバランスに優れ、導入しやすいモデルです。中国メーカーながらFMS連携などの高度な機能を備えており、工場や倉庫の自動化において有力な選択肢となります。

一方で、すべての現場に最適というわけではありません。屋外・段差・特殊搬送といったニーズに対しては、国内中小メーカーや特化型モデルの方が適している場合もあります。

最終的な選定にあたっては、「比較検討」「見積取得」「実機確認」が不可欠です。Hikrobotを理解した上で、より広い視点でAMR導入を進めることをおすすめします。

Hikrobotを含む国内外メーカーのAMRを比較しながら、自社に最適な搬送方式を判断できる AMR導入まるわかりガイド を無料配布中です。
価格・性能・選定チャート・事例まで網羅した実用資料で、導入判断をスムーズに進めましょう。