シャープマーケティングジャパン株式会社「TYPE LC」：400Wモーター搭載で大容量搬送に対応する高出力AGVの実力

製造現場や物流センターでは、作業効率の向上と人手不足対策を両立する手段として、自動搬送車（AGV）の導入が現実的な選択肢となりつつあります。中でも「どれだけ重い荷物を、どれだけ確実に運べるか」という点は導入の成否を左右する重要な評価軸です。

シャープマーケティングジャパン株式会社が提供する「TYPE LC（400Wモーター仕様）」は、そうしたニーズに正面から応える製品です。最大700kgの牽引能力と280kgの積載性能を実現した本機は、単なる搬送の自動化にとどまらず、現場の「搬送戦略」を変えるポテンシャルを持っています。

本記事では、TYPE LC（400W仕様）の技術的な特徴、導入設計、使用環境における具体的な適合性、拡張性までを事実に基づいて詳しく解説していきます。

TYPE LC（400W仕様）の基本スペックと搬送性能

高出力モーターで重量物搬送に対応

TYPE LC（400W仕様）は、ベースモデルに比べて搬送力を大幅に強化したAGVです。最大280kgの積載と、最大700kgの牽引性能を備えており、これまで人力あるいはフォークリフトでの対応が前提となっていた重量物も、AGV単体で搬送可能です。

積載例としては、金属製の部品ケース、モーター部材、鋼材ラック、液体容器などが想定され、構内での中長距離搬送を安全かつ効率的に行える仕様です。また、潜り込み牽引と引っ張り牽引の両方に対応しており、作業動線や台車形状に応じて搬送スタイルを柔軟に変えられるのも大きな特長です。

稼働時間とバッテリー構成

バッテリーは鉛タイプの42Ahを2基搭載し、400Wモーター出力に対応した設計となっています。最大稼働時間は約4時間と、標準仕様に比べると短めですが、これは高出力設計による消費電力を考慮した結果です。構内の複数エリアでシフトごとに交代運用する、あるいは中間充電（昼休憩などのアイドル時間を活用）する運用設計により、継続稼働が十分に実現可能です。

また、オプションとして自動充電ユニットを追加することで、夜間無人稼働や連続運用への対応力が一段と強化されます。

安定した磁気誘導走行と制御精度

走行方式は磁気誘導式を採用。床面に敷設された磁気テープに沿って走行する仕組みで、AGV本体のセンサーが正確に位置を把握しながら自律制御されます。誤差が極めて小さく、狭い通路や交差点での誤進入や脱線といったリスクが低減されています。

最高走行速度は60m/minで、一般的な構内搬送としては十分な速度です。台車や荷物の重量によらず、常に安定した速度で搬送できる点は、安全性と効率性の両面で大きなメリットを持ちます。

TYPE LC（400W仕様）による多階層対応の搬送自動化

多階層ストレージ運用とAGVの親和性

TYPE LCは、多階層型倉庫における搬送自動化にも対応可能です。AGVが複数の階層を縦横に移動しながら商品棚や荷物をピッキングステーションまで搬送する仕組みにより、作業者の上下移動が不要となり、全体作業の標準化・省力化が可能となります。

この運用では、TYPE LCが上層階から棚を搬送し、1階の作業者に受け渡す形式が基本です。積載性能や牽引力に優れる400W仕様であれば、1階から3階にわたる高重量棚の搬送にも余裕を持って対応可能です。

既存台車との互換性と導入しやすさ

TYPE LCのもう一つの利点は、市場流通量の多い台車との高い互換性です。カゴ車、6輪台車、ハンドリフト（パレット）など、既存の搬送機器をそのまま使用できる牽引ユニットがオプションで多数用意されています。

そのため、新たに専用台車を設計・調達する必要がなく、導入にかかるコストと工期を圧縮できます。また、潜り込み牽引が可能な本体の低床設計（250mm）は、多くの保管棚・台車に適応する柔軟性を確保しています。

TYPE LC（400W仕様）の導入プロセスと運用設計

タブレット操作による直感的なコース設計

TYPE LCは、コース設定・動作登録がタブレット端末上で完結する仕様になっています。専用ソフト「Easy Course Editor」により、施設の図面を背景に取り込みながら、走行ルート、停止ポイント、回転動作、警告タイミングなどをタッチ操作で登録可能です。

走行パターンは最大64種類まで登録可能であり、ラインごと、時間帯ごと、作業内容ごとに異なるルートを設定し、即座に切り替えて運用することができます。

敷設と運用開始のスムーズさ

磁気誘導方式の最大の利点は、施工と立ち上げが比較的簡単であることです。磁気テープと制御カード、保護テープを床面に敷設するだけで、ルートが完成します。既存設備の改修が不要であり、運用中のフロアに並行導入することも可能です。

運用開始時は、タブレットから走行パターンを選択し、起動指示を出すことで即座に搬送がスタートします。設定通りのルート、速度、動作により自動搬送が実行され、人的ミスの介在余地が最小限となります。

TYPE LC（400W仕様）の拡張性と長期運用支援体制

選べるオプションで現場適応力を強化

TYPE LCには、多様なオプションが用意されています。以下に代表的なものを示します。

• 自動充電ステーション：シフト間や夜間の自動充電が可能
• 後進走行ユニット：複雑なルート・狭小スペースでの搬送に対応
• LED警告灯・音声案内：安全性を高める視覚・聴覚インターフェース
• 特殊形状対応牽引ユニット：個別仕様の搬送台車に適合可能

これらのオプションを活用することで、TYPE LCは物流倉庫、電子機器工場、自動車部品工場、食品加工場など、多種多様な業種での活用が可能となります。

長期運用を支えるサポート体制

導入後の安定運用を支えるサポートとして、以下の3つのパックが用意されています。

1. 導入支援パック：コース設計や敷設施工を専門スタッフが代行
2. 電話サポートパック：運用中の問い合わせやトラブル対応に即応
3. 保証延長パック：最長5年までの保証延長で安心の運用が可能

初めてAGVを導入する現場でも、これらの支援により不安なく導入・運用を進められる設計となっています。

まとめ：TYPE LC（400W仕様）がもたらす高負荷搬送の自動化基盤

シャープマーケティングジャパン株式会社が開発した「TYPE LC（400W仕様）」は、積載280kg、牽引700kgの性能を持ち、磁気誘導による高精度搬送とタブレットによる柔軟操作を両立させた高出力AGVです。拡張性と互換性の高さ、さらには施工の容易さと強固なサポート体制により、重量物搬送に悩む多くの現場で「すぐに使えるAGV」として高い汎用性を発揮します。

単なる作業自動化を超えた「搬送設計の再構築」を可能にするTYPE LC。今後の現場改革において、重要な選択肢となる製品といえるでしょう。