製造現場や物流センターでの搬送作業は、依然として人手に大きく依存しています。近年はその現場において、省人化と業務効率化を目的としたAGV（無人搬送車）の導入が加速しており、求められるスペックも高度化しています。
そうした中、シャープマーケティングジャパン株式会社が提供する「TYPE LC」は、オプションで200Wモーターを搭載可能な磁気誘導式AGVとして、大型荷重搬送と高稼働時間を実現する注目の一台です。
本記事では、TYPE LC（200W仕様）の構造・性能から、多階層運用対応力、導入プロセス、サポート体制まで、事実に基づいて詳しく解説していきます。
TYPE LC（200W仕様）の基本スペックと走行性能
TYPE LCの高出力構成で対応範囲を拡大
TYPE LC（200W仕様）は、100W仕様の標準モデルをベースにした出力強化モデルで、特に積載量と牽引力においてその性能が際立ちます。最大積載荷重は200kgで、標準的な部品ケースや中型製品の直載せ搬送に対応。
また、牽引方式も「潜り込み」で最大200kg、「引っ張り」で最大500kgまで可能で、カゴ車や6輪台車などを牽引する大物搬送にも適応します。
稼働時間とバッテリー構成の最適化
AGVに求められる稼働安定性もTYPE LCの特長のひとつです。42Ahの鉛バッテリーを2基搭載し、1回の充電で約8時間の連続稼働が可能です。日勤帯フル稼働にも対応する容量となっており、バッテリー交換の回数削減や、昼休憩時の部分充電で午後の工程に備える運用も実現できます。
充電方式は標準で手動ですが、オプションとして自動充電機能を追加可能です。これにより、夜間や無人シフトへの自動運用にも拡張できます。
安定した走行と柔軟な動作構成
TYPE LCの走行方式は「磁気誘導式」です。床面に敷設した磁気テープをセンサーで認識し、あらかじめ設定されたルートに従って高精度に走行します。最高速度は60m/minで、作業員の歩行速度を超えるスピードを安定して維持できます。
動作面では、前進とスピンターン（その場回転）を標準装備しており、後進もオプションで対応可能です。狭いスペースでも方向転換が可能なため、通路幅が限られた現場でも実用性が高くなっています。
TYPE LC（200W仕様）で拡張する多階層倉庫対応力
立体構造に対応する柔軟性と安定搬送
TYPE LCは、物流や製造の現場で導入が進む「多階層ロボットストレージシステム」にも対応可能です。これは、複数階層の棚をAGVが縦横に走行し、ピッキングステーション（作業者が物を取り出す場）まで自動で商品棚を搬送する仕組みです。
たとえば、1階に設置したピッキングステーションへ、2階・3階に配置された棚から商品をAGVが自動搬送することで、作業員の移動をゼロにし、ピッキング効率と保管効率を同時に高めることができます。
TYPE LCは、走行速度・積載質量・牽引性能のバランスが取れているため、こうした多階層搬送においても速度と安定性を両立した運用が可能です。
多様な牽引装置と保管形状に対応
TYPE LCでは、流通・工場現場で一般的に使用されているカゴ車、6輪台車、パレットなどを牽引可能なユニットがオプションで用意されています。牽引ユニットは物理的な連結機構として設計されており、現場で既存の台車をそのまま活用できるため、新規設備投資を抑えながらAGV化を進めることが可能です。
また、TYPE LC本体の高さが250mmと非常に薄型であるため、潜り込み式牽引にも対応でき、台車下部にスムーズに進入して連結することができます。保管棚の形状や搬送物の寸法にも柔軟に対応できる点が評価されています。
TYPE LC（200W仕様）の導入プロセスと運用設計
Easy Course Editorによるコース設計
TYPE LCは、導入後すぐに稼働可能なように、コース作成・走行設定もユーザー側で完結できる仕組みになっています。専用ソフト「Easy Course Editor」はタブレット操作に対応しており、施設図面を背景画像として取り込みながら、搬送ルート・停止ポイント・ターン動作などを自由に設定できます。
特別なプログラミングスキルは不要で、現場作業員が視覚的なインターフェースで設定できるため、現場主導でのコース変更・調整も容易です。
最大64コースの走行パターン登録
一度設定したルートや動作は、最大64通りまで本体に登録可能です。これにより、製造ラインの切替や時間帯別の搬送内容変更にも柔軟に対応でき、コースごとに異なる搬送物や目的地を設定することができます。たとえば、朝は資材搬送、午後は完成品回収という運用もワンタッチで切替可能です。
現場施工と走行環境の構築
走行コースの敷設には、磁気テープ、制御カード、保護テープを使用します。これらはフロアに貼付するタイプのため、床面加工が不要で導入が簡単です。レイアウト変更にも柔軟に対応できるため、設備増設やライン変更時の再施工にも手間がかかりません。
運用開始後は、タブレットから走行コースを選択するだけでAGVが自律走行を開始し、指定された地点で停止、方向転換、牽引操作を自動的に実行します。
TYPE LC（200W仕様）のオプション機能とサポート体制
高機能オプションで運用幅を拡大
TYPE LCは、必要に応じて機能を追加できる拡張性を持っています。主なオプションには以下が含まれます：
- 自動充電機能（夜間無人稼働向け）
- 後進走行機能（複雑な経路対応）
- 音声警告・LEDランプなど安全装備の追加
- 特殊形状対応の牽引ユニット
こうしたオプションを活用することで、TYPE LCは業種・業態を問わず多様な現場に対応するマルチパーパスAGVとしての役割を果たします。
長期稼働を支える導入支援・アフターサポート
TYPE LCの導入には、3つのサポートパックが用意されています。
- 導入支援パック：コース設計・敷設施工を専門チームが代行。
- 運用サポートパック：電話による技術支援・トラブル対応。
- 保証延長パック：最大5年間の延長保証で長期稼働をカバー。
AGVの運用は継続的な保守も重要ですが、こうした体制が整っていることで安心して長期導入を検討できます。
まとめ：TYPE LC（200W仕様）が切り拓くAGV搬送の新領域
シャープマーケティングジャパン株式会社が提供するTYPE LC（200W仕様）は、200kgの積載、500kgの牽引能力を持ちながらも、省スペース・簡単操作・安定走行というAGVの基本性能を高いレベルで実現しています。
多階層倉庫や変動の多い現場にも対応できる柔軟性、豊富なオプション、強力なサポート体制を兼ね備え、搬送の自動化を次のフェーズに引き上げる実用性の高いソリューションです。
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