四恩システム株式会社「CREW」：低床潜り込み型で実現する300kg対応の自動搬送ソリューション

製造・物流現場では、限られた人員で効率的に作業を進めるための自動化ソリューションが求められています。中でも、自動搬送ロボット（AMR）の導入は、作業の省人化やヒューマンエラーの削減を目的とした有効な手段として急速に注目を集めています。こうしたニーズに応える製品の一つが、四恩システム株式会社の低床潜り込み型AMR「CREW（クルー）」です。

CREWは、最大搬送重量300kg、低床設計による潜り込み搬送、多様な誘導・移載方式に対応するなど、現場に即した設計思想が随所に反映されています。本記事では、CREWの特徴を技術仕様に基づいて詳細に解説し、導入検討時の判断材料となる情報を提供します。

CREWの特徴：300kg対応の低床潜り込み型AMRとは

CREWの低床設計が可能にする柔軟なレイアウト対応

CREWは、高さ180mmという極めて低い筐体設計により、既存の平台車やパレット台車の下部に潜り込んで搬送物を持ち上げ、移動する構造になっています。幅450mm、奥行き1100mmというコンパクトサイズも相まって、従来の搬送機器では対応が難しかった狭隘通路や障害物の多いライン周辺でも円滑に稼働することが可能です。

また、工場や倉庫の既存レイアウトを大きく変更することなく導入できる点は、導入の初期コストを抑え、短期間での運用開始を可能にするという観点からも大きなメリットといえます。

CREWの最大搬送重量は300kgに対応

CREWは最大で300kgまでの重量物を搬送することができます。これは、多くの製造現場で取り扱われる中量級の部材や、物流倉庫でのケース単位の輸送など、実際の運用ニーズに合致しています。搬送能力300kgというスペックは、フォークリフトや手押し台車に頼っていた工程の一部を代替可能とし、作業者の負担軽減と効率化の両立に寄与します。

CREWの走行性能：速度・方向・稼働時間の最適バランス

CREWの可変速性能が実現する安全と効率の両立

CREWは最低速度0.36km/h、最高速度3.60km/hの可変速制御に対応しています。これにより、混雑したライン周辺や人と共存するエリアでは低速で安全性を確保し、搬送距離の長い直線走行区間では高速での移動によって時間効率を高めるといった使い分けが可能です。

実際、例えば工場内の工程間搬送において、10mの移動にかかる時間は高速時で約10秒、低速時でも約100秒と制御性に優れており、工程間の時間管理がしやすいという利点もあります。

CREWは前後進が可能で、狭い現場での方向転換も容易

CREWは前進・後進の両方に対応しており、ターン動作が難しい狭隘エリアにおいても、ピボット動作をせずに前後に動くだけで進行方向を調整できます。これにより、U字型レイアウトや一方通行経路でも柔軟な運用が可能となり、既存の作業ルートを大きく変更せずに自動化を進めることができます。

約4時間の連続稼働で安定した業務運用を支援

CREWの連続稼働時間は、満充電状態で約4時間です。これは、通常の1サイクルあたりの業務時間（午前、午後の2回運用など）をカバーするには十分なスペックといえます。たとえば、1搬送あたり5分、1時間に12往復する運用を想定しても、4時間で48サイクルをこなすことが可能であり、複数台体制での運用で1日の全業務をカバーする構成も現実的です。

CREWの電源・誘導方式：多様な運用に応える柔軟性

CREWはバッテリー方式を選択可能

CREWの電源は、標準で鉛密閉型バッテリーを採用していますが、オプションでリチウムイオンバッテリーへの変更も可能です。リチウムバッテリーは軽量・長寿命という特性により、充電頻度を抑えたい現場や長期運用を前提としたユーザーにとって選択肢となります。

例えば、週5日8時間稼働の現場において、鉛バッテリーでは中間充電が必要になるケースが多いのに対し、リチウムバッテリーでは1.5〜2倍の充電サイクルで対応可能なため、運用設計の自由度が高まります。

CREWの充電方式：手動と自動のハイブリッド

手動充電に加えて、オプションとして自動接触式充電にも対応しています。特に24時間稼働体制や夜間無人運転を導入する現場では、自動充電の導入により人手を介さず継続稼働が可能になります。接触式の充電機構は、決められた場所で確実に充電できるよう設計されており、AMR本体と基地ステーションの位置決め精度も高く、トラブルの少ない運用が実現可能です。

CREWの誘導方式・移載機構：導入ハードルを下げる選択肢の広さ

CREWは5種類の誘導方式に対応

CREWは、磁気テープ、磁気スポットに加え、V SLAM（Visual Simultaneous Localization and Mapping）、L SLAM（Laser SLAM）、F SLAM（Fusion SLAM）といった高度な自己位置認識方式に対応しています。特に、F SLAMはカメラとレーザーを併用することで、照明条件や障害物の影響を受けにくく、複雑な環境でも安定した走行が可能です。

これにより、既存の工場・倉庫レイアウトに大規模な工事を加えることなく導入できる点が、多くの企業にとっての導入ハードルを下げる要因となっています。

CREWは移載機構も選べる：リフトアップとピン牽引

搬送対象の台車やパレットの構造に応じて、CREWはリフトアップ方式（下から持ち上げる）とピン牽引方式（フックで引っ張る）から選択できます。これにより、既存の運搬設備を活かしたままAMR化が可能になり、導入コストの低減と業務フローの継続性を同時に実現します。

CREWまとめ：CREWが現場にもたらす価値とは

四恩システム株式会社の「CREW」は、低床潜り込み型という物理的な特長に加え、300kgの搬送能力、多彩な誘導方式、柔軟な充電・電源設計により、製造・物流の多様な現場ニーズに的確に応える自動搬送ソリューションです。

搬送の自動化を検討する現場においては、機器の導入スペース、搬送重量、運用時間、充電管理、誘導方式の適合性といった複数の条件が絡み合います。CREWはこれらの要件を高いレベルでバランスよく満たすことができる製品であり、省人化・省力化を目指す企業にとって、有力な選択肢の一つとなるでしょう。