もりや産業株式会社 XF-100 TYPE GL-B：導入しやすさを重視したエントリーモデルAGV

工場や倉庫の現場では、人手不足への対応や作業の効率化に向け、無人搬送車（AGV）の導入が急速に進んでいます。一方で、「まずは1台から」「初期コストを抑えて試してみたい」というニーズも多く存在します。

もりや産業株式会社の「XF-100 TYPE GL-B」は、まさにそのようなニーズに応える“導入しやすさ特化型”のエントリーモデルです。

走行制御には2S-LIDAR-SLAMと磁気誘導方式を併用するハイブリッド方式を採用し、自律走行による柔軟な運用が可能です。

加えて、あえて自動充電を省き、手動充電とすることで、導入コストや構内インフラの要件を大幅に引き下げています。本記事では、XF-100 TYPE GL-Bの仕様と利点を、他機種との比較も交えて詳しく解説します。

XF-100 TYPE GL-Bの仕様と特長

コンパクトかつ十分な積載性能を持つ筐体設計

本機の外形寸法は954×480×293mm。シリーズ中でも小型・スリムな筐体で、作業エリアや通路の幅が限られている現場でも無理なく導入できます。幅480mmというスリムさは、人とAGVが同じ通路を使う場面でもスムーズなすれ違いを可能にします。

積載許容荷重は200kgと、一般的な部品台車や梱包資材の搬送に十分な対応力を持ちます。これにより、製造現場での部材供給や倉庫内での仕分け・出荷準備工程において、有効な自動搬送手段となります。

手動充電方式による導入ハードルの低さ

本モデル最大の特徴は、充電方式に自動ではなく手動充電方式を採用している点です。これにより、専用の充電ステーションを設置する必要がなく、運用開始までの準備工数・コストを最小限に抑えることが可能です。

AGV導入の第一歩として、まずは運用を試したいという現場にとって、手動充電は大きなメリットとなります。将来的に自動充電機能付きの上位モデルへステップアップする場合でも、運用ルールを確立するための実験機として活用できます。

ハイブリッド走行によるルート設計の柔軟性

TYPE GL-Bは、2S-LIDAR-SLAM方式（レーザーセンサーによる自己位置推定と地図生成）と、磁気テープによる誘導方式の両方に対応したハイブリッド型AGVです。

これにより、導入初期は磁気テープを敷設してルートを固定しつつ、現場の理解が進んだ段階でSLAM方式に移行するといった段階的な運用が可能です。ガイドレス運用に不安がある現場でも、磁気誘導による安心感とSLAMによる柔軟性を両立できることが、大きな導入メリットとなります。

走行方向と動作制御の自由度

走行モードとしては「全身（前進）」「後進」「スピンターン（その場旋回）」に対応しています。特にスピンターン機能は、方向転換スペースが限られている現場において大きな武器となり、レイアウト変更を伴わずに運用できる範囲を広げてくれます。

たとえば、作業台に直付けで荷物を届け、すぐに180度旋回して元のルートに戻るといった搬送動作が、狭隘な空間でも成立します。

安全性能と停止精度

TYPE GL-Bは、エントリーモデルでありながら安全装置をフル装備しています。以下が標準搭載されている安全機能です：

• 非常停止スイッチ：緊急時に即時停止可能
• バンパースイッチ：物理的衝突での自動停止
• 障害物センサー：人や物の接近を感知し減速・停止
• 走行メロディ：周囲への接近を音で通知
• ウインカー：進行方向を視覚的に提示

また、停止精度は±5mmと高く、固定位置への荷物受け渡しが前提となる工程でも十分な精度を実現しています。これは、自動化設備やロボットアームとの連携において重要な性能であり、エントリーモデルでありながら高精度な搬送が可能です。

GLシリーズにおけるTYPE GL-Bの位置づけ

XF-100 TYPE GL-Bは、GLシリーズの中で最も導入のしやすさにフォーカスしたモデルです。各モデルとの違いは以下の通りです：

• GL-A（バランス型）：牽引・自動充電対応で拡張性が高い。GL-Bはその簡易版として導入向き。
• GL-C（高牽引力）：牽引600kg対応。スペース・パワー重視の現場向けで、GL-Bとは用途が異なる。
• GL-E（中量物対応）：GL-Cと同サイズで牽引350kg対応。GL-Bはより軽量な搬送を想定。
• GL-CUBE（軽量・省スペース）：100kgまでの軽量物専用。GL-Bは積載200kgでより汎用的。

GL-Bは、導入初期や限定用途でのテスト、または搬送範囲が限定された現場において、「まずは無理なく始めたい」ニーズに応える最適なエントリーモデルです。

まとめ：無理なくAGV導入を始められる一台

XF-100 TYPE GL-Bは、シンプルな構成と確かな基本性能により、AGVを初めて導入する現場にぴったりのモデルです。200kg積載、ハイブリッド走行、±5mmの停止精度、安全装置の標準搭載など、搬送の自動化に必要な機能を備えつつ、手動充電という選択によって初期投資を抑えた運用が可能になります。

小規模な工程、期間限定の運用試験、設備との連携テストなど、幅広い場面で活躍するTYPE GL-Bは、「脱・運搬」に向けた第一歩として、現場に確かな効果をもたらします。