製造業や物流倉庫で進む自動化の流れの中、無人搬送車(AGV)は工程間搬送の中核を担う存在として注目を集めています。
その中でも、もりや産業株式会社の「低床ガイドレスAGV XF-100 TYPE GL-A」は、搬送能力・走行性能・安全性・設置性のいずれにも優れた全方位対応のスタンダードモデルです。本記事では、TYPE GL-Aの仕様と特長を、シリーズ他機種との比較を交えて解説します。
TYPE GL-Aのバランスに優れた基本スペック
スリムな筐体と低床設計で既存ラインに導入しやすい
TYPE GL-Aの外形寸法は970×480×190mmと、シリーズ中でも特に薄型でスリムな仕様です。高さ190mmという低床構造により、既存の台車下への潜り込み、低位置棚下の通行なども可能で、搬送対象物やルートの制約を最小限に抑えます。
たとえば、天井が低い作業エリアや中二階下などの限られた空間でもスムーズに通行できるため、レイアウト変更を伴わずに導入できるケースが多く見られます。また、幅480mmというスリムなボディは、フォークリフトや人と共用する通路でも混雑を避けやすい設計です。
積載・牽引の両対応で運用の幅を広げる
本モデルは、200kgまでの積載荷重に加え、同じく200kgまでの潜り込み牽引に対応しています。市販のカゴ台車や部品供給台車を活用した搬送が可能で、現場の資材・什器を流用した運用がしやすい点も特長の一つです。
この積載・牽引兼用仕様により、部品供給ラインや梱包・出荷エリア間での台車搬送、製造工程内でのワーク移動など、多様な業務に1台で対応できる柔軟性があります。
すべての走行方向に対応した柔軟な動作性能
走行方向は全身、後進、スピンターンに対応。搬送ルートの行き止まりや狭隘スペースでも、その場旋回による方向転換が可能で、ライン脇や狭所での荷受けにも適応できます。
たとえば、作業台のすぐ横で90度旋回して荷物をセットし、そのまま反転して出発するといった動きが可能です。こうした動作は、現場の省スペース化や人との動線分離にも寄与します。
高精度かつ柔軟な走行性能を実現するハイブリッド方式
SLAM+磁気誘導による自律走行と安定走行の両立
TYPE GL-Aは、環境認識による自己位置推定とマップ生成を行う「2S-LIDAR-SLAM自律移動方式」と、従来の「磁気誘導方式」のハイブリッド走行制御を搭載しています。これにより、導入初期は磁気誘導で安定運用し、段階的にガイドレス化へ移行する運用も可能です。
たとえば、AGV導入が初めての現場では、まず磁気テープで走行ルートを設計し、その後設備投資が進んだ段階でSLAMによるフレキシブル運用へ移行するという二段構えの運用も選択肢となります。
停止精度±5mmで設備連携も可能
高精度な走行制御は、停止位置の誤差±5mmという形で現れます。これにより、ロボットアームやコンベアなどの自動設備との位置連携にも対応可能。人手を介さずに荷渡し・受け渡しを行うことができます。
この精度は、パレット積み付けや重量計測、搬送ロボットとのデジタル連携が求められる工程において特に効果を発揮します。
分速60mのスムーズな搬送速度
走行速度は分速60m(時速3.6km)で、作業者の歩行速度とほぼ同等。混在作業の現場でも違和感なく溶け込み、安全性と生産性を両立した搬送フローを構築できます。
XF-100 TYPE GL-Aは安全と省人運用を支える基本機能
標準搭載された多層的安全装置
TYPE GL-Aには以下の安全装備がすべて標準搭載されています。
- 非常停止スイッチ
- バンパースイッチ(物理的衝突対応)
- 障害物センサー(障害物検知と回避)
- 走行メロディ(接近通知)
- ウインカー(進行方向の視認性向上)
これにより、搬送経路上の人や障害物との接触リスクを軽減し、安全運用の前提を確保できます。
自動充電による連続稼働体制
本機は自動充電方式を採用しており、あらかじめ設定したタイミングやバッテリー残量に応じて、自律的に充電ステーションへ帰還します。人手をかけずに稼働率を維持できる点は、省人化推進において大きな価値があります。
夜間稼働や多シフト運用でも、AGVの停止を最小限に抑えることができ、電力効率の最適化にもつながります。
他モデルとの比較で見えるTYPE GL-Aの位置付け
TYPE GL-Aは、GLシリーズの中でも「バランス」に特化した全方位型モデルです。他機種と比較することでその立ち位置が明確になります。
- GL-B: 手動充電かつ牽引非対応のため、簡易搬送用途に特化。TYPE GL-Aの方が運用自由度が高く、長時間運用や自律走行との相性に優れます。
- GL-C: 牽引力600kgの高出力モデル。大型什器や重量物搬送に特化する一方で、設置スペースと速度は犠牲に。
- GL-E: GL-Cと同等サイズで牽引力350kg。中量物搬送向けの効率重視型。
- GL-CUBE: 積載専用・超小型のため、ライン脇や仕分け専用搬送に適する特化型。
TYPE GL-Aは、省スペース・中量物・多方向搬送・自動運用のすべてをバランスよく兼ね備えており、「どの現場にも合う」ことが最大の魅力です。
まとめ:どんな現場にも応える、汎用性と信頼性を備えた一台
もりや産業株式会社の「低床ガイドレスAGV XF-100 TYPE GL-A」は、搬送現場に求められる「導入しやすさ」「柔軟性」「安定性」「安全性」をバランスよく備えた、全方位対応型のベーシックAGVです。
SLAMと磁気誘導のハイブリッド走行、±5mmの停止精度、200kg対応の積載・牽引、自動充電、安全装置の標準装備など、現場ごとの課題に柔軟に対応できる設計が特長です。AGVの初導入を検討する現場にも、既存設備との共存を求める現場にも、最適な選択肢といえるでしょう。
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